2020 Fiscal Year Annual Research Report
抗がん剤分割使用に向けての微生物学的見地における閉鎖式接続器具の有用性について
Project/Area Number |
20H01063
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
深水 知英 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 閉鎖式接続器具 / 抗がん剤 / 分割使用 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】閉鎖式接続器具は、バイアル内の抗がん剤の外部漏出に関する試験は行われているが、調製作業による外から中への細菌のコンタミネーションについては、とくに試験を行っていない。したがって、理論上はバイアル内の細菌汚染は防げると考えられるものの、有用なデータがないのが現状である。そこで、本研究では単回バイアルの分割使用を念頭に、抗がん剤バイアルに各種閉鎖式接続器具を使用した場合の、細菌汚染について検討を行った。 【研究方法】実際に分割使用して大きな薬剤費削減効果を期待できる、ベバシズマブ(アバスチン)について検討を行った。閉鎖式接続器具は、機械式のファシール、フィルター式のケモセーフを用いた。ベバシズマブは、実際の調製後に生じる本来は廃棄する残液を用いた。残バイアルを閉鎖式接続器具なし、ファシール接続、ケモセーフ接続の3通り、およびそれぞれを安全キャビネット内、安全キャビネット外の常温下、安全キャビネット外の冷蔵下の3通りで保管し、計9通りの保管条件で試験を行った。保管開始24時間後、7日後でサンプリングを行い、無菌試験用チオグリコレート培地に接種し、35℃、14日間培養後、細菌の発育を観察した。試験は、それぞれ2回ずつ行った。 【結果・考察】計9通りの保管方法いずれでも菌の発育は確認出来なかった。本研究では、実際の無菌調製後の残バイアルを用いたため、一番厳しい条件であった、閉鎖式接続器具なし、および安全キャビネット外の常温下という保管環境下でも、菌は発育しなかったと考えられる。しかしながら、ベバシズマブの安定性を考慮する上では、冷蔵保存下が最も好ましく、菌のコンタミネーションは、バイアルゴム栓表面の清拭が不十分の場合に起こりやすいと考えられるため、穿刺時のコンタミネーションを避けるという意味では、閉鎖式接続器具を用いた保管が最も適していると考えられる。
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