2020 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤業務での細菌伝播リスクと手指消毒の有益性の評価
Project/Area Number |
20H01069
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
檜山 洋子 広島大学, 病院薬剤部, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 感染対策 / 手指消毒 / 薬剤師 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬剤師の業務種類別に手洗い・手指消毒実施基準を設け,継続的な啓蒙を行うことで順守率・手指消毒剤の使用量は年々増加することが示された。 薬剤師の手指や業務上の行動範囲の環境や使用機器から採取した菌を分離同定したところ,環境からはStaphylococcus属・Bacillus属の検出が多く,手指から同定された菌種と9割以上同一だった。また,芽胞形成菌であるBacillus属においては.手指消毒のみと比べて石鹸による手洗いを含めた手指衛生では除去率が有意に高かった。 さらに,薬剤業務環境での微生物伝播や取り扱う薬剤に対する微生物増殖について,手指衛生の実施の有無が及ぼす影響を,模擬的な調剤を行うことで検証したところ,薬剤からも手指常在菌などの微生物が検出されることを明らかにした。また,錠剤からは手指消毒前後での陽性率に有意差はなく,手指消毒前はCutibacterium acnes,手指消毒後はStaphylococcus属が多く検出された。これは,手指常在菌の手指消毒前後での検証でも同様の状況がみられたことから,手洗い・手指消毒の実施がStaphylococcus属検出に影響する可能性も示された。 薬剤師の行動範囲においても手指の触れやすい場所で多数の細菌が検出され,衛生面のリスクや,芽胞形成菌を考慮する際は手洗いの必要性を示すことができた。実際の手指常在菌への薬剤業務への影響を考慮すれば,手指衛生だけではなく手袋の着用などの必要性も明らかとなり,これらの結果は,今後の薬剤師業務に対する適切な感染制御に貢献することができると思われる。
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