2020 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病の治療を目指した新規薬物封入型イムノリポソームの創製
Project/Area Number |
20H01095
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
濱道 修生 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究支援者
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | イムノリポソーム / パーキンソン病 / CD71・TFRC |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は血液脳関門(BBB)を通過して中枢神経系へ薬物送達できる新規モダリティの開発である。パーキンソン病治療において、L-DOPAは有効であるが、末梢においても代謝されるため、消化器系や循環器系の副作用が報告されている。これら副作用の軽減には標的細胞への特異的な薬物送達が極めて重要である。そこで我々はBBBを介して標的細胞への薬物送達を目指し、新規薬物封入型イムノリポソームの創製を試みた。このモダリティがBBBを通過(トランスサイトーシス)するためには内在化活性を有する抗体が必要である。そこでハイブリドーマライブラリーを作製し、抗体スクリーニングを実施した結果、抗ヒトCD71/TFRC抗体(214D8)の樹立に成功した。この抗体の特性はELISA、フローサイトメトリー、免疫細胞染色等を用いて評価し、内在化活性はイムノトキシンアッセイを用いて検討した。次に抗体を薬物送達キャリアであるリポソームに架橋し、作製されたイムノリポソームの物性評価(粒子径、ゼータ電位、形状等)を行った。イムノリポソームの機能解析においては、イムノリポソームに蛍光色素を内包し、細胞へ添加した後、蛍光イメージングによる細胞内取込みのキネティクスを解析した。この結果から、抗原抗体反応による細胞内取込みの増加が認められた。さらに薬物封入の有効性を検証するため、まずドキソルビシンが内包されたイムノリポソームを作製し、細胞に添加した後、細胞へのデリバリー特性を解析した。ドキソルビシンが細胞内へ取込まれたため、イムノリポソームによる細胞生存率の低下が確認された。これらの研究成果は標的細胞への薬物送達を目指す上で、イムノリポソームの実用性を示唆し、新たな一歩になると考えられる。
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