2020 Fiscal Year Annual Research Report
食道がん患者に対する遺伝子多型に基づいたがん化学療法個別化の確立
Project/Area Number |
20H01096
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
藤田 一馬 秋田大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | プラチナ / 遺伝子多型 / 食道がん |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的:プラチナ薬は、銅トランスポーターCopper Transporter 1(CTR)1により細胞内へ移行し、ABCトランスポーターMultidrug Resistance-associated Protein (MRP)2およびP-type ATPase (ATP7AおよびATP7B)により細胞外に排出される。さらに、プラチナ薬の一部はGlutathione S-transferase(GST)により薬物-GSHを形成し無毒化される。これら蛋白には遺伝子多型の存在が明らかになっている。本研究では、これら蛋白の遺伝子多型とプラチナ薬投与後の重篤な血液毒性との関連について検討した。 研究方法:Cisplatin/Nedaplatin+5-FU(FP/FGP)療法が施行された食道がん患者239名を対象にCTR1 rs10981694A>C、rs12686377G>T、ATP7B rs9535828A>G、MRP2 -24C>TおよびGSTP1 rs1695A>Gの各遺伝子多型をPCR-RFLP法を用いて解析した。血液毒性は、CTCAE v5.0を用いて評価し、単変量および多変量ロジスティック回帰分析を用い、遺伝子多型との関連を解析した。 研究成果:239名中82名の患者にGrade3以上の血液毒性の発現が認められた。多変量解析の結果、MRP2 -24C/T + T/T(P=0.036)、放射線療法の併用(P=0.005)および化学療法前の白血球が<6000/μL(P<0.001)に有意差が認められた。 結論:FP/FGP療法誘発のGrade3以上の血液毒性発現率とMRP2 -24C>T遺伝子多型との間に関連が認められた。本研究の結果は、食道がんの治療戦略の一助となる可能性がある。
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Research Products
(1 results)