2020 Fiscal Year Annual Research Report
N-acetylcysteineの骨治癒促進効果の検討
Project/Area Number |
20H01118
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
押谷 将之 兵庫医科大学, 医学部, 歯科医師
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | N-acetylcysteine / 抜歯 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ)のリスク因子の一つとして老化がある。老化は酸化ストレス(OS)の増加により促進される。OSは細胞内の酸化還元反応の不均衡により引き起こされ、OSにより還元型グルタチオン(GSH)を代表とする抗酸化酵素の活性が低下した結果、様々な障害が引き起こされる。近年、OSと骨の加齢との関連が報告されているが、ARONJとの関係性は明らかにされていなかった。主に鎮咳薬として使用されているN-acetylcysteine(NAC)は、直接的に活性酸素種を消去する役割をもつ抗酸化ストレス剤であり、細胞内に取り込まれた後、GSHへと変化することで細胞の酸化ストレスに対する抵抗性を増大させ、強力な抗酸化作用を示す。NACは生体材料の細胞親和性の向上や創傷感染予防、骨芽細胞の分化促進による骨再生加速効果を示すことが報告されている。本研究では、我々が作成した顎骨壊死モデルにNACを投与し、顎骨壊死への影響を検討することで、ARONJの予防や治療の発展につなげることを目的とする。当該年度は、顎骨壊死モデルにNACを投与し、抜歯窩骨性治癒への影響を検討した。 【研究計画・方法】 骨吸収抑制薬としてゾレドロン酸(ZOL)を用いた。6週齢のC57BL/6Jマウスを無作為にZOL+NAC投与群とZOL単独投与群に分け、NAC(1000㎎/kg/day)を単回投与した後に両群にZOL(250μg/25g/day)を7日間投与した。投与翌日に両群のマウスの上顎片側臼歯の抜歯を行い、さらにZOLを4日間投与し屠殺、上顎骨を採取した。そして上顎骨のHE、TRAP染色を行い、骨性治癒への影響を病理組織学的に評価した。 【結果】 ・健側の上顎臼歯周囲の破骨細胞数はNAC+ZOL投与群でZOL単独投与群より増加を認めた。 ・抜歯窩の骨性治癒および抜歯窩周囲の破骨細胞数に明らかな差は認めなかった。
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