2020 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトと野生動物の共生科学に基づく歯周病原性細菌の交差感染メカニズムの解明
Project/Area Number |
20H01119
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
三井 園子 日本歯科大学, 生命歯学部, 歯科医師
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 歯周病 / 共生科学 / 交差感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では、動物園飼育環境下における野生動物の口腔疾患(特に歯周炎)の有病状況を明らかにするとともに、ヒトで検出される歯周病原細菌のDNA 検査を動物園動物にも応用し、歯周病原細菌による人獣共通感染症の実態を把握することを目的とした。方法として、十分なハズバンダリートレーニングが行われている、よみうりランド・アシカ館(神奈川県川崎市)で飼育されているカリフォルニアアシカ7頭とその飼育員6名の歯肉溝滲出液のサンプリングを行った。歯周病原細菌の解析にあたっては、重度な慢性歯周病の発症に関与するRed Complex(Porphilononas gingivalis, Treponema denticola, Tannerella forsythia)、侵襲性歯周病の原因菌Actinobacillus actinomycetemcomitans、思春期性や妊娠性歯周病の原因菌Prevotella intermedia と、歯周病原細菌の歯面付着やバイオフィルム形成の基盤となるStreptococcus gordonii など計28 菌種を対象とした。採取した歯肉溝滲出液からQuickGene(KURABO)を用いてDNA を抽出し、オーラルケアチップORAG(DNA チップ、三菱ケミカル)を用いて細菌叢(歯周病関連細菌28菌種の総菌数)を評価した。歯肉溝滲出液のサンプリング時に、口腔内視診と飼育員へのヒアリングを行ったところ、6頭のアシカで歯周疾患が確認された。また、細菌叢解析においては、殆どのアシカから人間の歯周病菌であるTannerella forsythiaとTreponema denticolaと併せて、Fuso菌も多く検出された。コロナウイルスの蔓延により、飼育員からのサンプリングに時間を要したため、飼育員を対象とした細菌叢解析は現在進行中である。
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