2020 Fiscal Year Annual Research Report
軽度歩行障害の脊髄損傷者に対するHonda歩行アシストを用いた歩行練習の効果検証
Project/Area Number |
20H01137
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
吉川 憲一 茨城県立医療大学, 公私立大学の部局等, 理学療法士
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 脊髄損傷 / ロボットリハビリテーション / 歩行 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は軽度の歩行障害を呈する脊髄損傷者に対してHonda 歩行アシストを用いたトレーニング(HWAT)を実施し、その安全性と有効性等を探索することを目的とした。はじめにAsia Impairment Scale Dグレードの非外傷性脊髄損傷不全麻痺者に対し, 通常のリハビリテーション(リハ)実施期間を経た後にHWAを用いた歩行トレーニングを通常のリハにおける歩行トレーニングの替わりに、1日1回、最大20分を4週間かけて20回実施した。結果、有害事象なくすべてのセッションを完了した。HWAT開始2週(10回)の時点で快適歩行速度は+0.2m/s、4週の時点で+0.3m/sを認め、この増大は脊髄損傷不全麻痺者の歩行速度の臨床上重要な最小変化量を超える変化であった。更にこの変化は、HWAT開始時点はすでに著名な回復が想定される期間を超えているにもかかわらず、通常リハ開始からHWAT開始までの歩行速度変化率を超えた変化であった。同様に6分間歩行距離はHWAT開始から2週で地域歩行が可能となるカットオフ値を超え、退院まで維持した。下肢運動スコアはL5(足趾伸展), S1(足関節底屈)の改善を認めた。歩行中の三次元動作解析の結果、立脚後期の股関節伸展・足関節背屈・toe off時の底屈の増大を認めた。筋電計による歩行中の筋活動は、筋シナジー解析を用いて分析した結果、筋の活動パターン変化を認めた(第1モジュールの構成が有意に変化)。主な変化としては、HWAT終了時点ではヒラメ筋の活動が高くなっていることが分かった。本症例によって得た知見は、安全性と有効性および本機器が対象とすべき患者層(重症度等)を明らかするための第一歩となった。今後はHWATを実施する脊髄損傷不全麻痺者の症例を増やす予定である。
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Research Products
(1 results)