2020 Fiscal Year Annual Research Report
救命胴衣の浮力と水面に浮くフロート下からの離脱に必要な牽引力に関する研究
Project/Area Number |
20H01149
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
田村 浩志 国士舘大学, 政経学部, 非常勤講師
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 救命胴衣 / 浮力 / 牽引力 |
Outline of Annual Research Achievements |
救命胴衣(以下PFD = Personal Flotation Devices)の着用は小型船舶などの乗船者には安全確保の観点から法令により義務付けられている。令和元年夏、PFDを着用した児童がプールに浮かぶ水上遊具の下でうつぶせの状態で発見され命を落とす事故が発生した。この溺水事故は装着したPFDの浮力により引き起こされた可能性が高い。 本研究はPFDの浮力と水上遊具からの離脱に必要な牽引力を実験的に検証した。実験は屋内プールに水上遊具を想定したフロートを設置し、国土交通省が指定するtype A (小型船舶法定備品用)と type D (沿岸レジャー用)の2種類のPFDを装着した救助用ダミーがフロートから離脱するための牽引力を計測しその平均値を算出した。2種類のPFDの開口部を前面に着用させた条件と開口部を背面に着用させた条件を計測した。 また、フロートの無い場合の牽引力も同様に測定した。いずれもダミーが静止した状態から測定している。フロートの下からPFDを装着したダミーを牽引したときの力は、type Aが 前面で86.75±2.19N、 背面の場合は79.14 ±2.97N、type Dは通常で、100.85±2.92N、背面の場合94.21±4.02Nであった。一方、フロートのない状態では、 type Aが通常で6.55±0.66N、 背面の場合は7.55 ±0.66Nで、type Dが通常で4.90±0.00N、背面の場合は7.30±0.87Nであった。 PFDを装着してフロートの下に接したダミーが水中から水上へ離脱するには、学生選手権出場競泳選手レベルの最大牽引力の値44.36N(古賀2014)を上回った。このような状況にも対応可能なPFDの開発が望まれるが、浮力によって生じる摩擦力や牽引角度による力量の変化などを実験分析することが今後の課題である。
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Research Products
(1 results)