2020 Fiscal Year Annual Research Report
低周波分析を利用したセミ鳴音による環境分析方法の開発とESDへの活用
Project/Area Number |
20H01174
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Research Institution | 新島村立式根島中学校 |
Principal Investigator |
中里 直 新島村立式根島中学校, 主幹教諭
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 低周波音分析 / セミの鳴音 / 環境評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,西日本の都市部でクマゼミが増加し,分布域が年々北上していることや,都市部等で夜に鳴くセミの事例が報告されている.これらのセミの変化について,地球温暖化やヒートアイランド現象との関係が指摘されているが,解明されていないことが多い.そこで,セミ鳴音と環境要素との関係を分析することで,都市部の環境変化を理解できると考えた.本研究では,主にアブラゼミに注目し,セミが主に発鳴する期間(6~10月)に4つの計測場所(新島村,国分寺市,江戸川区と千葉市)で,セミ鳴音をICレコーダーで記録し,同時に温度,湿度と光強度を記録した.得られたセミ鳴音からスペクトログラムを求め,そこから鳴音のピーク周波数や平均周波数等を求め,セミ鳴音と環境データとの相関関係を調べ,多変量解析を行っている.セミの夜間発鳴の原因を探るため,夜間照明の少ない新島村式根島の3地点で鳴音を測定した結果,アブラゼミとニイニイゼミの夜間鳴音を確認できた.今後測定を続け,他の測定地点と比較することで,夜間鳴音の原因についての新たな知見を得ることが期待できる.セミ鳴音分析の実験系を確立するため,まず,冬期の野外でセミ鳴音試料データを用い,100mの空間距離におけるセミ鳴音の距離と音量(dB)の関係を求めた.次に低周波音測定計でセミ鳴音を記録し,FFTにより低波数でのセミの特徴的な鳴音を見つけ,位相差の違いから個体数を求めることを試みた.FFT解析を行ったが,セミ鳴音が小さく,背景音が大きいことから測定が困難であった.そのため,測定方法の改良を試み,試行実験から適切な実験系を考案できた.今後はセミ個体レベルでの低周波音測定結果と比較することで,野外における実験系を確立したい.また,セミ鳴音と環境に関するESDを理科授業で実践した.生徒はセミ鳴音の種類や時期が場所によって違うことや,近年のセミ鳴音の変化について興味をもっていた.
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