2020 Fiscal Year Annual Research Report
Influence of Theology on the Modern British Philosophy
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20H01180
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
矢嶋 直規 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (10298309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柘植 尚則 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (00305898)
長尾 伸一 名古屋大学, 経済学研究科, 名誉教授 (30207980)
古家 弘幸 徳島文理大学, 総合政策学部, 准教授 (30412406)
下川 潔 学習院大学, 文学部, 教授 (40192116)
ALBERG Jeremiah 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (80552182)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | デーヴィッド・ヒューム / 近代英国哲学 / ジョゼフ・バトラー / 自然神学 / 人格同一性 / 魂論 / 宗教哲学 / 理神論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は研究初年度であり、近代英国哲学とキリスト教神学の関係について6名の研究者により、3回の研究会と2回の国際研究会を開催した。研究代表者は研究会を組織し、研究分担者は各個別課題について論文の構想を発表し、全員で討議した。 個別課題について、研究代表者は6月に国際学会がオンラインによって開催された国際スコットランド哲学会において発表を行った。その後ヒュームにおけるキリスト教神学の影響の解明を研究した。2021年1月30日にはオンラインの研究会で「バトラーとヒュームの魂論と人格同一性論」と題する発表を行った。それに続いて『人間本性論』第1巻第4部第5節「魂の不死について」の議論の意義を考察した。これによってヒュームとキリスト教神学の関係についての従来の学説を修正する手掛かりを得ることができた。とりわけ、ヒュームが影響を受けた同時代の神学者であるジョゼフ・バトラーの「人格同一性論」との関係に新たな光を当てることができた。その成果は、本邦初訳となるバトラーの人格同一性論の翻訳という成果につながった。またヒュームの『自然宗教についての対話』についての新しい解釈をまとめ、『社会思想史研究』に書評論文として公表した。2021年3月にはプリンストン神学大学名誉教授Gordon Graham博士、ケンブリッジ大学組織神学欽定教授David Fergusson博士を招聘してのオンラインの研究会を開催し、近代英国哲学とキリスト教神学の関係についての流れを確認することができた。研究分担者もそれぞれの個別課題について研究を進め成果をあげ、成果を公刊している。こうして、初年度は共同研究の主題である英国経験論とキリスト教神学の関係を、ロック、ヒューム、スミス、リード、ミルと通史的に概観し、本研究課題の中心主題である近代英国哲学と神学の関係の重要性を明確にすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度はコロナウイルスによる行動制限のため、当初の計画を変更することを余儀なくされた。しかし、海外での学会がオンラインで開催されることになり、研究成果の発表を行うことができたほか、研究分担者との共同研究もオンラインで3回開催し、本プロジェクトに参加している全員が各研究課題を具体的に提示し、最終的な成果の完成に向けて実質的な一歩の歩みを進めることができた。また海外の有力研究協力者を招聘しての研究会もオンラインで2度開催したことにより研究課題の重要性についての信憑性が高まり、研究の進捗のために重要なステップとなった。さらに次年度に向けての具体的な工程が明確になっており、研究プロジェクトは順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、2020年度に定まった研究参加者全員の個別課題の実質的な完成を目指して共同研究を行う。そのために、年3回の共同研究会を開催し、各人の研究の進展について報告し助言を与えあう。また本プロジェクトのより大きな課題である近代英国哲学史全体の完成のために、現状のメンバーでカバーできていない分野について研究協力者による研究発表会を開催する。また2022年3月に本邦で開催される「国際スコットランド哲学会」の大会に参加し、研究成果を内外の研究者と共有することを予定している。その際、とりわけ近隣アジア諸国の研究者との研究課題の共有を目指したい。 研究計画は当初の予定にほぼ即する形で順調に進捗しており、現時点で変更の必要な認められない。ただし、コロナ感染の状況次第で、当面研究会はオンラインで開催することになる見込みであり、また国際会議の開催形態については変更の可能性もありうる。
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Research Products
(14 results)