2022 Fiscal Year Annual Research Report
Transnational history of the phenomenology of religion
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20H01188
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 聖子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (10338593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 史亮 北海道科学大学, 全学共通教育部, 准教授 (10632218)
志田 雅宏 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 講師 (10836266)
江川 純一 明治学院大学, 国際学部, 研究員 (40636693)
藁科 智恵 日本大学, 国際関係学部, 助教 (60868016)
木村 敏明 東北大学, 文学研究科, 教授 (80322923)
宮嶋 俊一 北海道大学, 文学研究院, 教授 (80645896)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 宗教現象学 / 国際宗教学宗教史学会 / 宗教学史 / 国際学会 / トランスナショナル・ヒストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は海外調査を徐々に再開することができ、文献資料の読み込みに加えて資料蒐集を進めることができた。その成果を段階的に発表した。 まず、8月には公開での研究会をオンライン形式で実施し、分担者の江川がペッタッツォーニ宗教史学、奥山がエリアーデのナショナリズムと宗教現象学および IAHR(国際宗教学宗教史学会) の形成について発表した。続いて9月には日本宗教学会年次大会(オンライン形式)でパネル「宗教史の中のIAHRと宗教現象学」を企画し発表を行った。藤原、江川、奥山、宮嶋が報告し、コメンテータにはIAHRの執行委員であるドイツ・ライプチヒ大学のカチャ・トリプレット氏を招き、IAHRの設立・初期の展開と、既成教団や非制度的宗教潮流との関係について議論を行った。さらに10月には藤原がシカゴ大学で対面で開催された国際シンポジウムで、シカゴ学派・宗教現象学者とIAHRの関係史という国際的な文脈の中で日本の宗教学・仏教学の歴史を位置づける発表を行った。 並行して、本科研プロジェクトの申請時の計画に入れていたが、コロナにより進めることができなかったIAHRの役員会を招いてのシンポジウムについては、拡大した形で2023年度に東京で実施することが、IAHR役員会との協議の結果、決定した。すなわち、IAHRの役員だけでなく、IAHR全加盟学会の代表者を招いての2日間のカンファレンスに拡張し、その規模と重要性を鑑み、主催者を日本宗教学会とし、本研究グループは組織委員として企画・運営に中心的に関わることになった。カンファレンスのテーマは、本プロジェクトの当初案「国際宗教学会の伝統を語ってきた者は誰か――インクルーシブな伝統の再構築のために」をベースに、2020年からのコロナ禍の体験、2022年のロシアによるウクライナ侵攻に対するIAHRの政治的声明発出をめぐる議論等を加えて定めることになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代表者・分担者それぞれの文献資料の蒐集・分析は順調に進んでいる。その研究成果を、単独での学会発表や論文によるアウトプットに加えて、本年度は、研究会と日本宗教学会でのパネル発表により、グループとしてまとまって発表した。特にパネル発表では、ドイツ在住の、IAHR史やマールブルク大学の宗教学の伝統に詳しく、オットーやハイラーに関する展示を含むマールブルク宗教博物館の企画運営に貢献しているトリプレット氏を対話の相手として招くことができたのは大きい。日本在住の日本人研究者による、欧米の宗教学史に関する研究を、欧米の研究者に誤解なく伝えるには何を考慮すべきかについて助言をもらうことができたためである。トリプレット氏による本プロジェクトの評価はきわめて肯定的なものだった。これは本科研の研究成果の国際発信にとって大きな自信となった。同時に、昨年度から、国内向けのアウトプットを、対象を院生・学生に想定し、早めに開始することにしているが、研究会開催によってその方針を継続することができ、論集の刊行に向けて弾みをつけた。 国際連携については、IAHR特別カンファレンスの招致に成功したことは非常に大きい。IAHRは5年に1度の世界大会の他、重要な節目に、役員会・加盟学会の主要メンバーから構成される研究集会を開いてきた。代表的なものは1973年にフィンランド・トゥルクで開催された、宗教現象学を主題とした会議、1988年ドイツ・マールブルクで開催された、IAHRのグローバル化を主題とした会議である。これらの研究集会はIAHRの歴史をふり返り、今後の方針を検討する上で重要な役割を果たしてきた。2023年度に開催することが決定した、東京でのカンファレンスはこの歴史に続く重要な研究集会としてIAHR役員会によって位置づけられている。その意義を国内の研究者に伝えるための論文の執筆にも着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
代表者・分担者ごとに文献資料の蒐集・分析を引き続き進めていく。2023年度は最終年度にあたるため、成果物としての論集の刊行に注力する。並行して、IAHR特別カンファレンスの準備を進める。カンファレンスは12月に開催することが決定したため、スケジュールとしては、中心となる講演者・報告者の決定を4月までに完了し、カンファレンスの背景と意義を説明する論文と日本宗教学会向けの報告文を4月・6月に刊行する。本研究グループとしてパネル発表などを行うかについてもその時期までに決定し、準備を進める。終了後はプロシーディングスを作成する。 また、前述の論集については、学生・院生向けテキストとして通用するものを目ざすことにしたため、それを踏まえて、研究者を対象とする新たな試みを日本宗教学会の年次大会に向けて行う。
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Research Products
(14 results)