2020 Fiscal Year Annual Research Report
Toshihiko Izutsu's Formulative Period of the Oriental and Its Academic Perspective
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20H01199
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
澤井 真 天理大学, 付置研究所, 講師 (40773734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 智寛 東北大学, 文学研究科, 教授 (10400201)
小村 優太 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (20726822)
小野 純一 自治医科大学, 医学部, 講師 (20847090)
古勝 隆一 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (40303903)
加藤 隆宏 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (80637934)
長岡 徹郎 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 研究員 (20884951)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 井筒俊彦 / 東洋哲学 / イスラーム / 老荘思想 / インド哲学 / ギリシア哲学 / 大乗起信論 / 神秘主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、コロナ禍のため研究会をすべてオンラインで行った。研究会を開催するに先立って、井筒俊彦が東洋哲学を形成する過程を明らかにするうえでの役割分担について、科研代表者が各分担者と研究協力者とグループ別の事前ミーティングを行った。そのうえで、井筒俊彦をいかに読み解いていくのか、それぞれの研究関心についても確認した。 第1回研究会では、本科研の申請内容を確認したうえで、本科研以前になされてきた井筒に関する先行研究を分析しながら、本科研の見通しが立てられた。井筒俊彦に関する研究を時系列で並べたとき、近年の著作数や論文数の増加が示す通り、年々関心が高まっている。そのうえで、井筒に関するこれまでの研究は、主として東洋哲学という側面に向けられており、東洋哲学がいかに形作られていったのか、井筒のそれ以前の研究遍歴を彼の諸著作から考察しようとする試みが少なかったことも明らかとなった。 第2回研究会では、井筒俊彦の「東洋」の概念的変遷を確認しながら、東洋哲学が井筒のイスラーム研究、とりわけイブン・アラビー研究との関わりからいかに構築されたかが考察された。諸著作を丹念に追うとき、井筒の「東洋」概念は、地理的なものから精神的なものへと拡大して用いられている。その際、井筒は、自らが最も深く携わったであろうイスラーム思想─特にイブン・アラビーを中心とする存在一性論─から、東洋哲学の典型的な思想的枠組みを見出した。事実、井筒は「東洋の諸哲学」という語を用いることで、統合的な「東洋哲学」が構築されていない状況について言及しているが、この時期は彼が海外に拠点を移して研究を進めた時期に当たる。井筒が日本に帰国する以前の諸著作に分析の焦点を当てることで、彼の東洋哲学への軌跡の一端が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のため当初申請を予定していた国際学会や国内学会が中止となったため、研究業績において学会発表や口頭発表数は当初の予定を下回った。また、対面での研究会を断念せざるをえず、オンラインに切り替えたことは研究のさらなる展開を妨げた。 その一方で、研究代表者、ならびに研究分担者の研究は、論文などを通して着実に進められた。それぞれの研究成果が、井筒俊彦の考察へと有機的に結びつけられ、研究会での活発な議論につながったという意味で、進捗状況はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍により、対面で予定していた研究会をオンライン開催に切り替えざるをえない状況で、いかに研究の連携を図っていくかが重要となる。海外の研究者との国際的な学術交流は、井筒俊彦がいかに読まれてきたのかを理解するうえで不可欠であるため、コロナ禍での研究推進のあり方についてオンラインによる成果発信を検討する。こうした背景には、オンライン下での連携に慣れてきたことがある。今後は、研究成果をオンライン動画で配信することも視野に入れて研究成果の還元を行う予定である。
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Research Products
(18 results)