2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research on dvandvas from cross-linguistic viewpoints
Project/Area Number |
20H01268
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
島田 雅晴 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (30254890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 雄一 筑波大学, 人文社会系, 教授 (70280352)
長野 明子 静岡県立大学, 国際関係学研究科, 教授 (90407883)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 等位複合語 / 形態論 / 生成文法 / 言語接触 / 等位構造 / 外在化 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は2つの課題(Research Question)を設定し、当該言語でdvandvaの有無を決定する要因を特定するための調査・研究を行った。第1の課題(RQ1)は、「当該言語の通時的変遷の中で、dvandvaの生起はどうなっているのか」、第2の課題(RQ2)は、「他言語との言語接触によりdvandvaの生起可能性にどのような変化が起こるのか」、である。
RQ1については、英語史上におけるdvandva生起の変遷を取り上げた。現代英語にはdvandvaが存在しないことが知られているが、古英語の辞書を調べると日本語の「道路」や「毛髪」に類するタイプ、つまり、「道」と「路」のようにな同義語が重なるタイプのdvandvaが多く、「手足」のような意味の異なる語が重なるタイポが少ないことがわかった。また、中英語、近代英語の調査にも着手し、少しずつデータが蓄積されてきたので、研究発表、著書執筆の準備に着手した。
RQ2については、日本語母語話者によるレシピが集められたインターネットサイトを主なデータ源として、英語の等位接続詞を用いたレシピタイトルを収集し、その分類を行った。その結果、当研究グループが過去5年間にわたり行っている日本語へのin、on、withなどの英語前置詞の取り込みのデータとの比較研究が有用であることがわかった。特に、言語接触について生成文法的な観点から研究を行っているMuysken (2000)の分析を援用する方向性が模索された。成果の一部及び関連する成果が島田・長野・小野(2020)、Nagano (2021)、小野(2021)で発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
設定していた2つの研究課題について、一定の成果を得ることができた。1つ目の課題である英語のdvandva型等位複合語の歴史変化の調査については、研究協力者の協力も得て、順調に収集データを増やし、中英語、近代英語の調査にも着手することができた。古英語から現代英語までのdvandva型の等位複合語の分布変遷について、順調に調査が進んでいる。 また、2つ目の課題である英語接続詞のandを取りこんだ日本語表現をインターネットサイトから収集し、分類する試みについても、言語データの収集が予定通り進んでいる。しかも、その中で予期していなかったデータも得られ、次年度以降への課題が得られた。 そして、1つ目の課題と2つ目の課題がリンクした課題として、新たに古英語の等位複合語と日本語の等位複合語の相違というテーマが浮上し、順調に研究の展開・発展が見込まれている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、辞書・コーパス等の資料、画像も含めたインターネット上の情報を言語データとして、言語学と関連分野の分析手法を用いてdvandva型複合語の言語間比較対照研究を推進する。そして、句ではなく、複合語をデータとした等位構造構築に関する理論研究を進め、これまで研究されてこなかった領域についての知見を蓄積していく。 また、収集したデータをより詳細に分析するため、また、収集するべきデータがこれまで前提としていたものでいいのかを再検討のため、古英語を含めた個別言語の等位接続構造に関する先行研究、さらに、言語接触研究の文献調査のスピードを速めていく。あわせて、等位構造の外在化の違いが何にもとづいているのかを解明すしながら、言語間差異は外在化規則の違いによるとする生成文法理論のアプローチを推し進めていく。
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