2022 Fiscal Year Annual Research Report
復帰前後の沖縄における基地と開発をめぐる住民運動に関する実証的研究と資料整備
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20H01310
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
鳥山 淳 琉球大学, 島嶼地域科学研究所, 教授 (60444907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 こずえ 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60650330)
秋山 道宏 沖縄国際大学, 総合文化学部, 准教授 (90813767)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 沖縄 / 復帰 / 住民運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
伊江島の阿波根昌鴻資料については現地での調査活動を部分的に再開し、特に阿波根氏が復帰前に撮影した写真記録の資料的価値を考慮して、本格的な活用に備えてネガフィルムの管理とデジタル画像の整理を進めた。その作業をふまえて、2022年10~11月に浦添市美術館で開催された「島の人々 戦後伊江島・阿波根昌鴻写真展」に写真資料を提供し、阿波根昌鴻資料の活用を図った。 「金武湾を守る会」の資料については、前年度に作成した簡易目録に依拠して調査対象となる資料を抽出し、同会の定期発刊物とビラ等の配布物、埋立工事をめぐる裁判記録、県内外の支援団体の資料を中心に約1500点の資料についてスキャニング作業を行い、複製画像を作成した。 大山朝常資料については、資料目録を用いてコザ市の行政記録や歓楽街の管理に関連する記録を中心に調査対象となる資料を抽出し、約200点の資料についてスキャニング作業を行って複製画像を作成した。 2022年5月が「復帰50年」の節目であったため、それに関連する研究発表の機会において、復帰前後の状況と運動を分析する意義とその研究成果を提示した。具体的には、鳥山「「返還50年」の沖縄をどうとらえるか」(『歴史地理教育』939号)、上原「「生存の危機」にある沖縄戦後の運動史を捉え直す」(『年報日本現代史』27号)、秋山「戦後沖縄の歴史はなにを問いかけるのか」(『平和運動』613号)がそれに該当する。また同年7月に発刊された『沖縄県史各論編7 現代』では、鳥山・上原・秋山が復帰前後の政治社会運動に関するテーマを執筆し、沖縄現代史研究における新たな成果を提示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
伊江島での調査活動は引き続き感染対策面での制約が大きいため、一時的に資料を運び出す方法によって研究の進捗を図った結果、一定の進捗を達成することができた。「金武湾を守る会」資料と大山朝常資料については、スキャニング作業の実施を最優先にして研究費の配分を行った結果、資料の公開・活用を可能とするための複製画像の作成が大幅に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
阿波根昌鴻資料については、次年度から感染対策面での制約が緩和されることを想定して、伊江島での調査活動を本格的に再開し、研究の進捗を図る。「金武湾を守る会」資料と大山朝常資料については、今年度に作成した複製画像を用いて詳細な目録作成と資料の分析を行い、研究の進捗を図る。
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