2022 Fiscal Year Annual Research Report
Historical archaeology on the ruling form and internal structure of the ancient Near Eastern empires focusing on the frontier region
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20H01328
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
西山 伸一 中部大学, 人間力創成教育院, 教授 (50392551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 展也 中部大学, 人文学部, 准教授 (10365497)
津村 眞輝子 (財)古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (60238128)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アッシリア帝国 / 鉄器時代 / 古代帝国 / 支配構造 / 辺境部 / 歴史考古学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はコロナ禍も収まり現地におけるフィールドワークを実施することができた。現地においては、イラン側のザグロス山脈におけるアッシリア帝国の考古学情報を収集するとともに、2016年以降発掘調査を実施しているヤシン・テペ遺跡において考古学調査を実施した。調査は、「下の町」南東部における地区における発掘を中心に行った。この地区では、2016年に調査したG地区は、A地区の北に位置し、地下探査のデータから多くの構造物が存在することが推測されていた。予想どおりに、ここからは多くの建造物が出土したがいずれも一般の住居ではなく、おそらく神殿のような宗教構造物である可能性が高い。上記のG地区の他に、「下の町」縁辺部でF地区を調査した。ここからは、子供(未成年)の墓が多数検出された。最も若年の人骨で生後9カ月であったと考えられる。多くの場合、土器の内部に埋葬されていたが、ピットに埋葬されたものもあった。中には円筒印章や多数のビーズ、青銅製腕輪・足輪をもつ子供もあり、社会的格差が子供の埋葬にもあったことがわかる貴重なデータである。そもそもアッシリア時代における子供の墓地は報告例も少なく、今後研究の対象として重要である。最後に、H地区をヤシン・テペのアクロポリスに設置し、都市の中核部分における文化編年の把握に努めた。この地区では、これまでのところハッスーナ/サーマッラー期からおそらく前期青銅器時代までの層が明らかになったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、コロナ禍以降で初めて本格的なフィールドワークが実施できた年度となった。これまでの遅れを取り戻す計画であったが、現地の調査期間が限られていたため思いのほか進展は望めなかった。しかし、日本での研究は進展し、文献史料の再検討、過去に持ち帰った現地のデータの処理、分析用サンプルの研究が行われた。こられの研究にフィールドワークで得られたデータを合わせることで歴史考古学的研究が推進できる。フィールドワークは、今年度の精力的な展開により新たなデータが取得できたことは大きな成果である。特にアッシリア時代には非常に稀な子供の墓地は、ヤシン・テペという都市の中で子供がどのような位置づけにあったのか、健康状態や食料事情などが今後の人骨研究で明らかになればと思う。来年度は、フィールドワークの最終年度として、これまのフィールドデータを補完するデータの取得を目指すとともに、これまでの遅れを取り戻すことを目標におくことにする。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては、遅れ気味のフィールドワークを来年度も展開し、研究に必要なデータを取得する。特に「下の町」の南東部でこれまでの発掘区を有機的につなぐ部分について発掘調査をすすめ、これまで出土した建築遺構の役割を考える。また出土遺物についても分析を進め、特に土器、土製品、金属製品、石製品などを詳細に観察することで、「下の町」に居住していた人々の生活を復元する研究を行っていきたい。もちろん、過去の膨大なデータを本研究の期間で完了することは困難であるが、研究の基盤となるデータの集成は、完成させたく考えている。またフィールド以外での文献史料、地理情報科学、および貨幣学のデータについてもアッシリア帝国とその比較として選択しているサーサーン朝時代のデータを統合するようにしたい。サーサーン朝時代については、近年スレイマニヤ県でも考古学資料が徐々に蓄積されてきており、そのデータも活用できればと考えている。
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