2020 Fiscal Year Annual Research Report
Revealing the "real" climate change that ancient Mayan people witnessed, based on high-resolution chronology
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20H01355
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
北場 育子 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 准教授 (60631710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 貴之 東京大学, 総合研究博物館, 特任研究員 (30748900)
中川 毅 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 教授 (20332190)
那須 浩郎 岡山理科大学, 基盤教育センター, 准教授 (60390704)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マヤ文明 / 極端気象 / 気候安定性 / 放射性炭素年代 / 気候変動 / 人間活動 / 年縞 / メキシコ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、マヤ地域で採取した年縞堆積物に最高精度の年代軸を与え、数週間スケールの気候(気象)復元をおこなうことで、気候変動と文明盛衰の因果関係に迫ることである。 2020年3月に掘削したサン・クラウディオ湖の年縞堆積物コア(SCL20)を分割し、視認できる植物遺骸をすべて拾い上げ、放射性炭素年代測定をおこなった。その結果、サン・クラウディオ湖には、紀元前3000年以降の堆積物がほぼ連続的に存在することが明らかになった。2022年には追加の掘削調査をおこない、すべての時代で誤差10年未満を達成できる量の堆積物試料(長さ4m x 20本)の採取にも成功した。 さらに、SCL20の蛍光X線分析をおこない、過去4600年間にわたる気候・気象変動を復元した。分析には、イギリスのアベリストウィス大学所有のItraxをもちいた。長さ4.6mの完全連続な地層を全層準にわたって40ミクロン間隔でスキャンした。これは、平均0.5カ月の時間分解能に相当する。この分析によって年縞に記録された雨季・乾季の乾湿変動が取り出せていることも確認した。分析の結果、西暦900年ごろに少なくとも約15年間、気候が不安定になった(=極端気象が増加した)時期があった。また、西暦1000年ごろを境に、乾燥化が起こったことがわかった。加えて、西暦1000年以前と以降を比べると、西暦1000年以降、気候が不安定化する時期が増えたことも明らかになった。 さらに、同じ試料の窒素安定同位体比分析を試みた。その結果、湖周辺の人間活動の痕跡を検出することができた。サン・クラウディオに都市が築かれるよりもずっと前から、人間がたびたび湖の周りで生活を営んでいたことがわかった。 これらの結果を比較すると、西暦900年ごろの極端気象の増加は、サン・クラウディオの都市が放棄された時代に一致した。このことは、極端気象の増加が、古典期マヤが衰退した原因の一つである可能性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大防止と、所属機関の海外渡航自粛の方針により、予定通りに分析をおこなうことができなかった時期もあった。しかし、国内でできる新たな分析を模索した結果、人間活動に関する良質なデータを得られることが判明し、湖周辺の人の動きを数年スケールの時間分解能で分析する準備を整えることができた。 また、当初見込んでいたほどの植物遺骸が堆積物中に含まれていないという問題も、サンプル量の確保を優先した掘削調査を再度おこなうことにより、解決できた。
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Strategy for Future Research Activity |
後続のプロジェクトで粛々と分析をおこなう。
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Research Products
(5 results)