2020 Fiscal Year Annual Research Report
The basic research on history reorganization of negotiations of Japan and Korea in the tumulus period, using structural analysis of the Haniwa industry and ancient handicraft industry theory.
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20H01358
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Research Institution | Kyoto National Museum |
Principal Investigator |
古谷 毅 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸部, 研究員 (40238697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 卓治 日本大学, 文理学部, 教授 (20822216)
犬木 努 大阪大谷大学, 文学部, 教授 (40270417)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 古墳時代 / 埴輪生産 / 前方後円墳 / 古代手工業論 / 古代日韓交渉史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、基本的に現地で編成した生産組織で製作・配置・配列され、考古学的に生産組織や工人移動に関する具体的検証が可能な資料的特性をもつ日韓出土埴輪を生産組織論と古代手工業論の研究視角から比較・分析し、両地域における埴輪製作の契機と歴史的背景を明らかにする。また、日韓考古学と日本古代史学の総合化により、古墳時代の日韓技術交流史および政治・文化交渉史として再検討し、新たな歴史像の再構築を図る研究方法を確立する基盤を形成し、その成果・研究法と蓄積データの公開・発信を図ることを目的とする。そこで研究計画はⅠ打合研究会・Ⅱ資料調査と、Ⅲ成果検討研究会を踏まえたⅣ国外(韓国)公開研究会・Ⅴ国内公開研究会と段階的に構成し、本年度はⅠ・Ⅱ段階を中心に計画した。 令和2年度は、当初から新型コロナウイルス等感染症まん延防止措置による2度の緊急事態宣言発令で、外務省出入国条件等により著しく国内外の研究活動が制限されたため、研究支援者を雇用した研究代表者所属機関の所蔵資料調査のほかは、研究資料収集と関係機関との打合等の研究活動に留まった。令和3年度も2度の緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置発令等の同様な状況で、研究代表者所属機関所蔵資料調査を拡大するに留まった。 令和4年度も当初、引き続き日韓両国の出入国制限が延長されたため前年度までと同様な状況であったが、日韓両国渡航緩和の方向性を承けて夏期以降の調査・研究計画を具体化させて国内外打合・調査を準備し、さらに代替の研究推進措置として、研究分担者所属機関で研究支援者を雇用して文献資料調査を進めると共に、既存調査画像資料の整備・保存を実施した。 さらに、秋期の日韓両国の渡航緩和措置後、直ちに韓国側研究協力者との連絡・調整の上、研究協力者と韓国国立光州博物館・国立羅州博物館における資料調査と、韓国・慶北大學校における打合および共同研究会を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2・3年度は、新型コロナウイルス等感染症まん延防止措置による4度の緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置の発令で予期せぬ国内移動および海外渡航制限等により、国内・国外(韓国)における本研究に不可欠な当該分析対象資料の調査・研究会の実施が不可能となった。 令和4年度前半期も、蔓延防止等重点措置終了後の新型コロナウイルス等感染症の感染症再拡大により、国外調査・研究会および国内調査・研究会は当初計画の予定を延期せざるを得ず、本研究はⅠ打合研究会・Ⅱ当該資料調査と、Ⅲ成果検討研究会に続くⅣ韓国内・Ⅴ国内公開研究会を行う段階的な研究計画のため、Ⅰ・Ⅱ段階の研究が滞り研究の推進が困難であった。 一方、令和4年度後半期に、新型コロナウイルス等感染症まん延防止措置諸条件の緩和を承けて実施した国外調査・研究会および国内調査・研究会では、実施期間が当初計画の約半分に短縮されたため、著しく活動内容が低減した。加えて、日韓両国の渡航緩和措置後、直ちに韓国内研究協力者と実施した国外調査・研究会では、当該の分析対象資料が韓国国立博物館(国立羅州博物館)による展示・公開および前後期間の整理・輸送等によって資料所蔵機関の調査不能期間が発生しており、本年度内の現地調査では博物館における展示品の観察などによる基礎的な調査・分析に留まったため。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、研究代表者は令和5年度当初に韓国内研究協力者へ協力依頼等の各種調整を行うと共に、研究代表者・研究分担者2名(以下、研究組織)で令和4年度の国外(韓国)資料所蔵機関の調査不能期間の発生により実施できなかった当該資料の調査計画、および日本および韓国 (以下、日韓) における本研究の全体計画を策定するための打合および会議・研究会を随時、遠隔通信手段等を併用して行う。 また、令和5年度前半に、研究組織で国外(韓国)における埴輪資料(咸平郡・霊岩郡・光州市など)の調査を実施する。調査依頼機関は、国立光州博物館(光州市)、国立羅州博物館・国立羅州文化財研究所(羅州市)、全南文化財研究所(務安郡)・大韓文化財研究院(潭陽郡)などを計画する。国内においては、研究組織に毎回研究協力者2~3名を加えて、やはり本年度実施できなかった分析対象である埴輪資料の調査および会議・研究会を実施する。調査対象はこれまでの研究で実施した日韓における調査成果を踏まえ、朝鮮半島と地理的にも近く、弥生時代以降早くから交流が行われてきた近畿・中国・九州地方において、双方の影響・系譜関係が予想された埴輪関係資料に焦点を当て、重要資料を中心とした計画を立案する。具体的には、京都府・兵庫県・福岡県などの埴輪資料を対象に計画する。 一方、このような計画を遂行すると共に、国外(韓国)で調査成果分析のための合同研究会と、これを踏まえた日本国内で計画中の総合的な公開研究会(B)の準備としての公開研究会(A)を韓国内研究協力者が在籍するソウル大學校・慶北大學校(ソウル市・大邱市)などでを実施する。 なお、既存の調査資料分析と新規調査資料等の整理・分析、および令和4年度に促進した日韓古代史研究における日韓交渉史研究状況の整理・分析の一層の促進を図る。
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