2020 Fiscal Year Annual Research Report
The emergence and diffusion of Microblade industries in East Eurasia
Project/Area Number |
20H01361
|
Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
加藤 真二 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 企画調整部, 部長 (20261125)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 細石刃石器群 / 中国華北地方 / 中国東北部 / IUP / EUP / MUP / LUP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究に関連する中国北部(中国東北部、華北)の細石刃石器群研究に関する基礎データの収集・整理を進めた。その結果、中国語・英語・日本語による560編の中国細石刃石器群関連文献をリスト化した。 次いで、これらの文献をもとに、中国北部の細石刃石器群の所在地、緯度経度、細石核組成、総出土点数、特徴的な器種の石器の有無、石器群類型、放射性炭素年代ならびにその暦年較正年代などを取りまとめた基本一覧表を作成した。現在、リスト化できたのは、中国東北部で67遺跡76石器群、華北で114遺跡158石器群である。そして、中国北部の108石器群で放射性炭素年代値を中心とする理化学年代値があることを確認した。おそらく、現在、公表されている中国北部の細石刃石器群に関わる年代値は網羅できたと考えている。そして、それをもとに中国での細石刃遺跡の分布、細石刃出現期石器群(Ⅰ類)、角錐状細石核石器群(Ⅱ類)、舟底形細石核石器群(Ⅲ類)、北方系細石刃石器群(Ⅳ類)の分布図等を試作し、細石刃石器群の動向を探った。その成果の一部については、北アジア調査研究報告会などで発表した。 また、中国北部での細石刃技術の発生状況と比較検討するため、研究協力者とともにフランスの古人類古生物学研究所(IPH)ほかの在パリ研究機関で資料の詳細観察調査を実施し、ヨーロッパでの細石刃技術の出現期(オーリニヤック文化期)の状況を確認した。また、IPHが所蔵する中国北部の代表的な後期旧石器文化初源期(IUP)の石器群である寧夏水洞溝石器群において、彫器石核による小石刃技術が見られないことを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大、ウクライナ紛争にともなってメインのフィールドである中国、ならびに重要な比較地域であるロシアでの調査を実施することができなかったことから、調査対象の詳細な観察と記録作成、試料採取などができず、研究の主要な素材が文献ならびにインターネット等での海外研究者とのやりとりによって取得できた情報に限定されてしまったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
中国での調査を実施するとともに、中国側研究者を日本に招聘し、最新の研究成果についての検討をおこなう。それらの結果と、これまで蓄積できた中国北部の細石刃石器群に関する基礎データ、フランス・オーリニヤック文化期における細石刃技術の実態などをも参考にしながら、2023年内には、中国北部ならびに周辺地域の細石刃石器群の動向を復元、論文化する。また、それらを取りまとめて研究成果報告書を作成する。この研究成果報告書には、中国細石刃関連文献一覧、中国北部細石刃石器群一覧をあわせて掲載する。
|
Research Products
(7 results)