2020 Fiscal Year Annual Research Report
新たな長期年輪幅標準年輪曲線ネットワークの構築とそのオープンアクセス化
Project/Area Number |
20H01368
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大山 幹成 東北大学, 学術資源研究公開センター, 助教 (00361064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米延 仁志 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (20274277)
星野 安治 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 室長 (50644481)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 年輪年代学 / 標準年輪曲線 / 年輪幅 / ヒノキ科 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、ヒノキ科長期年輪幅標準曲線ネットワークの整備とデータのオープンアクセス化を目標としているが、初年度は、当初予定通り、中部産ヒノキの2000年間標準年輪曲線構築に注力した。試料数の少ない年代の試料収集を実施予定であったが、コロナ禍により、調査を縮小・延期せざる得ない状況となったため、収集済み試料の整理と計測、再解析を代表者、研究分担者で協力しつつ、重点的に実施した。 年輪幅計測には、今年度導入した年輪計測自動制御ステージを活用し、高解像度での画像撮像と年輪幅計測を実施した。標準年輪曲線間にギャップがある17-18世紀に関しては、現生木曽ヒノキで400年以上の樹齢を有する試料を中心に計測と解析を行い、併せて、江戸時代の遺跡出土材も再解析を実施した。その結果、現生材と遺跡出土材の標準年輪曲線間で、クロスデーティングに成功し、ギャップを埋めることに成功した。同様に、7-8世紀のギャップについても、年輪幅計測と再解析を進め、標準年輪曲線連結部分のクロスデーティングに成功した。これらの成果により、2000年間の中部産ヒノキ標準年輪曲線構築に成功した。この成果公表については、学会発表の申し込みを3月に行った。 これと並行し、標準年輪曲線ネットワーク構築に向けて、日本各地の現生材標準年輪曲線の解析と出版を進めた。また、より高精度の木材産地推定法の確立を目指し、研究分担者が収集した大量の現生木曽ヒノキ円盤の高解像度画像撮像と年輪幅計測を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により、初年度に予定していた調査を縮小・延期せざる得なかったものの、それに代わって、既存試料の解析に注力することで、初年度の最大の目標であった2000年間の中部産ヒノキ標準年輪曲線構築に成功した。さらに、学会発表という成果公表の第一段階に達したため、進捗状況としては、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に構築した標準年輪曲線は、質的に十分公表可能な水準にあるものの、より高質な標準年輪曲線確立を目指し、補完的な試料収集を引き続き中部地方で実施する。並行して、当初予定通り、確立したヒノキ標準年輪曲線を軸に、近畿~東日本の標準年輪曲線ネットワーク構築を進める予定である。
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Research Products
(6 results)