2022 Fiscal Year Annual Research Report
The collection and utilization of geograpphical information in East Asia during the Sino-Japanese and Russo-Japanese Wars
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20H01385
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 茂 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 名誉教授 (30087150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大坪 慶之 三重大学, 教育学部, 教授 (30573290)
渡辺 理絵 山形大学, 農学部, 准教授 (50601390)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日清・日露戦争期 / 東アジア / 地図作製 / 気象観測 / 日本 / 西欧列強 / 淸国 / 朝鮮 |
Outline of Annual Research Achievements |
西欧列強や日本の「帝国地図学」と中国(清国・民国)各省の地形図作製の交錯を検討する本研究では、アメリカ議会図書館での関係資料の閲覧が待たれたが、2022年8月末~9月中旬と2023年3月中下旬にようやくこれを実施することができた。 その結果、日露戦争期に日本軍が作製した「露版図」(ロシア製図の翻訳複製)の元図(8万4千分の1)を多数閲覧でき、スキャンも行うことができた。また清末作製の江蘇省の南京近傍図(2万分の1)を日本陸軍が縮刷したものも閲覧し、このスキャンも実施した。これまで、少数の東京大学蔵図のマイクロ写真(大阪大学蔵)によって検討してきたが、さらに多くの図を検討できるようになった。加えて義和団事件期に福建省で陸地測量部の技術者が測量して作製した5万分の1図についても、ほとんどをスキャンすることができた。 他方、露清国境のうちパミール高原を中心とする地域については、ロシア製図・イギリス製図を主に調査を行い、写真撮影を行った。これらの一部は、「中俄交界全圖」など中国側作製図の元図になっただけでなく、清国の政治家、李鴻章が閲覧したことがその日記より確認され、清国側の外交的な意思決定との関係が注目される。 なおその間に台湾に関する日本製海図の変遷および日清・日露戦争期にむけた日本の海外での気象観測の展開を検討した論文が学会誌に掲載されたほか、アメリカ議会図書館で閲覧した地図に関する報告を『外邦図研究ニューズレター』14号に掲載し、また人文地理学会大会でも発表した。 以上の結果、西欧列強・日本の「帝国地図学」に対して、中国側のナショナルな地図作製がさまざまな形で進行していたことが明確になった。その間、中国製図を「帝国地図」として利用する動きも始まったが、近代地図作製の主体が中国側に移行し、それが「帝国地図学」を圧倒していく傾向もみとめられた。今後はこれらの成果の学会誌への投稿をめざしたい。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)