2021 Fiscal Year Annual Research Report
The role of geodiversity in development of biodiversity in mountain regions
Project/Area Number |
20H01390
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
高岡 貞夫 専修大学, 文学部, 教授 (90260786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
苅谷 愛彦 専修大学, 文学部, 教授 (70323433)
佐々木 明彦 国士舘大学, 文学部, 准教授 (20608848)
泉山 茂之 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (60432176)
東城 幸治 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (30377618)
齋藤 めぐみ 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究主幹 (40455423)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ジオダイバーシティ / 生物多様性 / 高山地域 / 野生動物 / 進化生態学 |
Outline of Annual Research Achievements |
長野県梓川上流域とその周辺域では、従来から対象としている池沼について、地形、水文環境、哺乳類、水生動物、珪藻類の調査を実施した。きぬがさの池および天狗池における水温、水質、水位の観測により、従来不明なことが多かった冬期から融雪期にかけての池沼環境の変化が記録できた。水生動物については、これまで採取した試料の分析が進められた。また、トビケラ目の水生昆虫についての調査により、異なる系統の種が中部山岳域で混在しており、これらは池沼での消雪と水面の解氷時期のズレに応じて生活史がずれているにも関わらず遺伝子流動があることが確認された。夏眠の影響など、ジオ環境の違いだけでは説明できない生物的要因の関与が考えられる。採取を行った珪藻については、種相当レベルの分類と確認が終わり、池沼ごとの群集構造の特徴が分析された。山域ごとに一定の群集型が集中する一方で、流域内全体にみられる群集型が存在することが明らかになった。 八方尾根、鳳凰山の両地域で自動撮影カメラを設置し、地すべり地内の池沼や岩塊地が大型・中型哺乳類や両生類によってどのように利用されているのかに関して記録を継続した。大型哺乳類が頻繁に池沼を訪問しており、珪藻類の受動分散に貢献している可能性が検討された。また、八方尾根地区において、地すべり移動体上に生じた小凹地で掘削調査を行い、得られた長さ183 cm のコアの記載と年代測定から約7800 cal BP 以降の地形変化と環境変化を推定した。約2770 cal BP以降には現在と同じような植生が成立し、その後存続しれてきたと推定された。 梓川上流域と八方尾根地区を含む北アルプス地域において、GPSを用いたニホンジカの行動について記録した。その結果、シカが北アルプスの高標高域と山麓域の間を広域的に季節移動しており、山地での移動の途中には池沼や周囲の湿原、草原に滞在することが推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍下の調査実施における安全確保上の問題から、調査協力者を十分に得ることが難しかったことにより、予定していた野外調査の一部を縮小せざるを得なかった。しかし、複数の調査協力者の協力を必須としない調査項目については実施でき、データの蓄積も進めることができている。また、八方尾根地区に設置した自動撮影カメラについて、悪天候のためにデータ回収が完了できなかった。これについては翌年度に回収ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
必要な計測データや採取試料は徐々に蓄積されてきたので、これらのデータの解析や実験室での分析を進め、補足的なデータ取得や試料採取が必要な場合には調査シーズン中に実施できるように計画する。また、研究開始以来の各分担者の成果を共有し、成果間の関係等について相互に意見交換を行いながら、最終成果をまとめていく。学会での講演や論文の公表も計画的に進めていく。
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Research Products
(7 results)