2020 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル遊牧民の食習慣の変化が腸内フローラへ及ぼす影響
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20H01391
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
森永 由紀 明治大学, 商学部, 専任教授 (20200438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 二郎 九州大学, 農学研究院, 教授 (40217930)
尾崎 孝宏 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (00315392)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | モンゴル遊牧民 / 腸内フローラ / 伝統的発酵食品 / 発酵馬乳(クミス) / 現代食侵襲 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、COVIDー19パンデミック中のためモンゴル国での現地調査が実施できなかった。そのため、過去に収集したアイラグ(発酵馬乳)サンプルの分析によるアイラグの簡易的な評価方法の確立及び、博物館展示関連の準備を国内ですすめた。 質の良いアイラグができるためには、乳酸発酵とアルコール発酵が適切に進行する必要があるため、アイラグの評価には発酵過程における滴定酸度TA、乳酸含量LA、エタノール含量EtOHの値を知ることが重要である。しかし、これらは簡易測定が難しいため、電気伝導度EC、pH、屈折率RIのような現場で簡単に直接測定できる物理化学的パラメータを用いてTA、LA、EtOHを推定する方法の確立をめざした。 アイラグの生産活動が盛んな地域であるボルガン県、ドンドゴビ県、オルホン県、トゥブ県の家庭や市場で採取したアイラグのサンプル47個と、生乳(各50mL)のサンプル30個について,ECとRIを測定した。RI,0.1N NaOHでの滴定によるTA,対応するF-kit(Roche Diagnostics K.K., Tokyo, Japan)を用いてLAおよびEtOHを算出した。 アイラグのTAとLAは、ECとpHを予測因子とした回帰式を用いて、高い精度で予測することができた。これらのモデルは、実地試験ができない場合や高価な機器が入手できない場合に、安価で簡便な酸度分析法として利用できる可能性がある。特に、家庭でアイラグを失敗なく作るための乳酸発酵のモニタリングに有用であると考えられる。また、RIを用いたEtOHの回帰式が作成でき、アルコール発酵の度合いの簡便な見積もりもある程度可能となった(Tsuchiya et al.,2020)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19パンデミック中で、現地調査が実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19パンデミックの収束を待って、速やかにモンゴル国における現地調査を実施する予定である。モンゴル国内で生産されているアイラグの菌叢のバリエーションを調査するとともに、アイラグを発酵する容器や温度の違いが細菌叢にどのような影響を与えるか調査する。
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Research Products
(2 results)