2022 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル遊牧民の食習慣の変化が腸内フローラへ及ぼす影響
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20H01391
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
森永 由紀 明治大学, 商学部, 専任教授 (20200438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 孝宏 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (00315392)
中山 二郎 九州大学, 農学研究院, 教授 (40217930)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 伝統的発酵食品 / モンゴル遊牧民 / 腸内細菌 / 発酵馬乳(クミス・アイラグ) |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はCOVID-19の影響で見合わせていた調査がモンゴル国Bulgan県Mogod郡においても可能になった。そこで伝統的な牛革製フフルと近年増えたプラスチック容器とでアイラグの発酵様式がどう変わるかを、微生物叢と化学成分の変化から詳細に調べるためのサンプリングを2022年8月に実施した。プラスチック容器とフフルの両者を用いてアイラグを生産している3つの遊牧民家庭にて、フフルおよびプラスチック容器で発酵しているアイラグを1日5回(朝の前日に発酵したものの残り、昼の馬乳を追加する直前と直後、追加後1時間と3時間攪拌したもの)6日間採取し、各サンプルの微生物叢と化学成分と温度の変化をモニタリングした。アイラグの温度変化についてみると、プラスチック容器はフフルに比べて高い保温性を示すという遊牧民の知識を裏付ける結果が出た。日変化でみると、プラスチック容器では早朝時の温度低下が小さいという特徴がみられた。微生物叢は、細菌の16S rRNAのアンプリコン配列解析と一部のサンプルについてはショットガンメタゲノム解析を行った。真菌については、ショットガンメタゲノム解析の結果からKluveromyces属であることが示された。Kluveromycesは乳糖発酵性を有することが知られているが、実際のメタゲノムデータにもラクターゼ遺伝子の存在が確認された。アイラグ中ではKluveryomycesが馬乳中の乳糖をアルコール発酵しているようである。 その他、以下を実施した。①Mogod郡で作成中のアイラグミュージアムにてモゴド郡役所の人々と今後について話し合い、遊牧に関する写真等を追加展示した。②モゴド郡での遊牧民へのインタビュー調査より、コロナのパンデミック中、健康食品としてのアイラグが牧民の間で積極的に飲まれる一方、対面が避けられた結果アイラグの流通には阻害が生じていたことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19で見合わせていたモンゴル国での現地調査を開始できたが、現地滞在中にメンバー内で発熱などの症状のある者が複数いたために、調査内容を縮小したため。
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Strategy for Future Research Activity |
日本に持帰ったアイラグサンプルの分析をさらにすすめ、新旧発酵容器の違いがアイラグに及ぼす影響に関する成果をモンゴル国内の学会で発表して、現地の研究者たちと意見交換を行う。
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[Book] 野生の教養2022
Author(s)
森永由紀、野に生きるための教養、218-237頁
Total Pages
367
Publisher
法政大学出版
ISBN
978-4-588-13033-5