2023 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル遊牧民の食習慣の変化が腸内フローラへ及ぼす影響
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20H01391
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
森永 由紀 明治大学, 商学部, 専任教授 (20200438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 孝宏 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (00315392)
中山 二郎 九州大学, 農学研究院, 教授 (40217930)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 伝統的発酵食品 / モンゴル遊牧民 / 腸内細菌 / 発酵馬乳(クミス・アイラグ) |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度はアイラグの分析を更に進めた。発酵は、乳酸発酵はプラスチック容器(以下P)でより活発で乳酸濃度は常時高い傾向にあり、pHはより低く保たれていた。アルコール発酵はほぼ同等で、若干革袋のフフル(以下H)が高い傾向が見られた。細菌叢はPにて多様性が有意に高く維持され、細菌組成はPで製造されたものがほぼラクトバチルス属で構成されているのに対し、Hで製造されたものは、ラクトバチルス属以外に、プロテオバクテリア門、放線菌門、及びファーミキューテス門に属する細菌の存在が見られた。ラクトバチルス属は両容器のアイラグともにLactobacillus helveticusが最優先種で90%以上を占めた。Hのみに存在が確認された他の乳酸菌種や環境細菌は、馬乳を追加した後に多く出現するためH表面にこれらの細菌種が多く付着している可能性がある。またHでは、温度の日変化が大きく乳酸発酵のレベルが低く保たれているため幅広い細菌の増殖ができる可能性もある。総じてHでは乳酸発酵が低く抑えられる傾向にあり、またH表面が多様な菌の生息地となっており、多様性豊富なアイラグが生産されるのに対し、Pでは発酵槽内の温度も安定しており、一種の乳酸菌L. helveticusが優占して乳酸発酵しながら増殖していた。 その他、以下を実施した。①遊牧民に委託した自動気象観測器の風向風速計が損壊したため交換②遊牧民へのアイラグ製法のヒヤリングを9月にモゴド郡以外の2か所で実施し、製法の近年の変化を記録③アイラグ非製造地域でのヒヤリングによるとパンデミック中でもアイラグ製造が盛んにならなかったが、ナーダムの再開に伴い儀礼用のアイラグについては従前どおり確保されていることが確認された④アイラグの成分の性質を夏と秋で比較するために10月に集めた31サンプルを分析し、乳酸濃度は夏が高く、アルコール濃度は秋に高いことがわかった。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)