2020 Fiscal Year Annual Research Report
ローカルガバナンスにおける地域とは何か?地方自治の課題に応える地理的枠組みの探究
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20H01393
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
佐藤 正志 静岡大学, 教育学部, 准教授 (00599912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 洋介 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (10646699)
梶田 真 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40336251)
杉浦 真一郎 名城大学, 都市情報学部, 教授 (50324059)
栗島 英明 芝浦工業大学, 建築学部, 教授 (80392611)
美谷 薫 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (50782968)
畠山 輝雄 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (20508741)
久井 情在 国立社会保障・人口問題研究所, 国際関係部, 研究員 (10832058)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ローカルガバナンス / 広域化 / 狭域化 / 多層化 / リスケーリング / マルチスケールガバナンス / 広域連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、大きく①ローカル・ガバナンスに関する理論的動向の研究について、狭域化、広域化、多層化の各観点を踏まえた整理と概念操作、②個別で対象とする地方自治分野に関する動向の把握および全国的なデータベースの作成、を中心に扱った。 ①については、欧米におけるローカル・ガバナンスに関する地理学および隣接分野に関する研究状況の整理と、日本での導入に向けた検討課題について中心に扱った。特に、本年度は、狭域化、広域化、多層化に関わる概念として、リスケーリング、マルチスケールガバナンス、分権化といった概念に着目して、各自が取り上げる予定とする市町村合併後の狭域的な事業運営や財政配分(佐藤、前田、梶田)、広域的な事業運営における合意形成(杉浦、栗島、美谷)、多層的な政策形成と事業運営(畠山、久井)を捉える概念操作および精緻化を進めた。 ②については、当初計画に基づき、狭域化、広域化、多層化の実情と全国動向の把握を進めた。狭域化については、合併自治体での社会教育施設運営とスポーツ運営(佐藤)、合併自治体に対する合併算定替の終了に伴う財政的影響とその見通しに関するアンケートの実施(梶田)、地理的分断条件を含んだ合併自治体の合意形成のデータベース作成(前田)を行った。広域化については、市町村国民健康保険の2018年度以降の新制度整理と全国の都道府県の動向整理(杉浦)、実態調査報告を用いた一般廃棄物処理の全国的な圏域設定のデータベース把握(栗島)、水道事業の広域化動向と事業のあり方に関する論点整理(美谷)を実施した。多層化については、定住自立圏・連携中枢都市圏での地域包括ケア構築の動向把握とデータベースの作成(畠山)、地域移住政策の都道府県・市町村相互関係に関するアンケートの作成(久井)を進めた。これらをもとに、次年度以降の現地調査に向けた対象地域の選定を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の流行拡大に伴い、学内・学外での文献や資料入手が困難になった時期が発生した。文献研究については、一定程度の検討を進めることが可能になったが、データベースの作成等に関して、謝金を支払う業務ができなくなったこと、図書館等の人流抑制策などにより、予定通りの情報の入手ができなくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度中に実施できなかったデータベースの作成については、COVID-19の流行縮小期に進めることで、2021年度も継続して実施する。また、文献渉猟の結果に基づき、各自のテーマに関する資料・統計類の収集および実証研究について進める。具体的には、スポーツ運営に関する広域合併地域での地域差の検証(佐藤)、合併市町村の地方交付税配分の変化と域内配分の変化(梶田)、合併自治体での狭域的な合意形成をめぐる自治制度の確立(前田)、広域的な市町村健康保険の先駆的な再編状況の検討(杉浦)、一般廃棄物処理と気候変動対策の広域的な対応状況(栗島)、水道事業広域化の実際の動向におけるプロセスの調査(美谷)、多層的な地域包括ケアシステムの類型と運営の実態の調査(畠山)移住政策に関する都道府県・市町村の意識に関するアンケートの実施(久井)といったテーマを進める。 現地調査にあたっては、オンラインシステムでのインタビュー調査や、郵送によるアンケート調査など、対面以外の方式を念頭においた現地調査を進める。
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Research Products
(5 results)