2021 Fiscal Year Annual Research Report
太平洋戦争激戦地における歴史記憶を創出する「場」の人類学的研究
Project/Area Number |
20H01404
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
風間 計博 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (70323219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 毅 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (00454116)
飯高 伸五 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (10612567)
深田 淳太郎 三重大学, 人文学部, 准教授 (70643104)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 太平洋戦争 / 慰霊 / 激戦地 / 想起 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、コロナ禍のため海外における実地調査の遂行は不可能だった。感染者数が落ち着いた時期を見計らって、国内で短期間の実地調査を実施した。また、昨年度までに収集した太平洋戦争や慰霊に関する史資料や音声資料等を整理し、新たな文書を収集したうえで、文献研究に基づき人類学的な分析を行った。 飯高は、マリアナ諸島およびパラオにおける日本からの慰霊団の訪問記録や戦跡観光について検討した。深田は、ソロモン諸島における遺骨収容活動記録や活動実態について検討した。北村は、沖縄戦友会の記念誌等の資料を収集し整理した。風間は、戦時中の記録等に関わる古書を収集した。また、風間は玉砕地の文献収集のほか、千鳥ヶ淵戦没者墓苑等を訪問して慰霊活動や墓苑管理等について情報を収集した。 加えて、研究代表者の風間が組織している国立民族学博物館の共同研究会(リモート開催)において、本科研の課題に関わる歴史研究者や人類学者をゲストスピーカーとして招聘した。ナウル島における日本軍によるハンセン病患者殺害事件の史料分析、戦時ニューギニアにおける住民殺害に関するドキュメンタリーTV番組の批判的分析、オセアニアにおける身体表現による想起のあり方、マーシャル諸島におけるアメリカ軍関連施設の住民による日常的利用等、本研究課題に関連する情報を共有したうえで、議論を深めた。 これら検討内容について、研究代表者・分担者は、学術誌等で研究成果を公開した。また風間は、太平洋戦争時に日本軍が占領し、住民を強制退去させたバナバ島の歴史記憶に関する書籍(単著)を上梓した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度に引き続き、世界的なコロナ禍が治まらないなか、海外渡航を伴う実地調査を遂行することができない状況だった。とくに、太平洋島嶼国は厳しい渡航制限を敷いており、解除されるまでは身動きの取れない状態が継続している。困難な状況において、主に国内における情報収集や文献研究によって研究を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、これまでの実地調査において収集した太平洋戦争の関連資料を整理したうえで、新たに史資料や古書等を収集する。また、国内調査によりドキュメンタリー映像資料等の閲覧を積極的に行う。海外渡航が可能になる時期を見据えて、具体的な民族誌資料収集のための研究計画を策定する。状況が整えば、海外渡航して実地調査を遂行する。また、代表者が組織する国立民族博物館の共同研究会等を活用して、関連情報を収集・分析して議論を深める。コロナ禍のなか、このような代替の方策によって研究を推進していくことになる。なお本年度は、研究代表者を中心として、本研究に関わる論文集の出版に向けた準備を進めていく予定である。
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Research Products
(3 results)