2022 Fiscal Year Annual Research Report
年長少年および若年成人に対する「新たな処遇」に関する総合的研究
Project/Area Number |
20H01433
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武内 謙治 九州大学, 法学研究院, 教授 (10325540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 有紀 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (00732471)
大谷 彬矩 信州大学, 先鋭領域融合研究群社会基盤研究所, 助教(特定雇用) (00801622)
服部 朗 愛知学院大学, 法学部, 教授 (40267886)
森久 智江 立命館大学, 法学部, 教授 (40507969)
本庄 武 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (60345444)
相澤 育郎 立正大学, 法学部, 専任講師 (90715393)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 少年法 / 年長少年 / 少年院法 / 更生保護法 / 少年行刑 / 特定少年 / 犯情 / 刑事処分 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、少年・刑事法制における年長少年(18・19歳の者)と若年成人(20歳から概ね26歳までの者)に対する「新たな処遇」のあり方を多角的かつ総合的に明らかにするという目的から、(1)比較法研究、(2)法学・犯罪学・刑事政策理論研究、(3)実証研究に取り組んだ。 令和4年度は、次の研究を予定した。(1)比較法研究:ドイツとアメリカ、イギリスでの実地調査。(2)理論研究:社会内処遇・更生保護、施設内処遇の問題構造の分析・検討、(3)実証研究:近畿・中国を重点地区とする実地調査。刑務官・保護観察官・NPO実務経験者へのインタビュー。 令和4年度は、対面およびオンラインにて、4回の研究会と4件のインタビュー調査の実施した。また、イギリスでの実地調査を行った。 (1)のうち実地調査は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が長期化したため計画したドイツとアメリカの調査は実施できなかったものの、イギリスの実地調査を行った。ま特にイギリスにおける保護観察と社会内処遇の実情を把握し、実施機関の専門性につき調査を行った。また、基礎となる文献調査では、とりわけ欧州において、若年者に対し特別な配慮を行う特別な規定を少年法・刑事法に措く動きが強まっており、オーストリアのようにそのための法改正を行っている国があることが明らかになった。 (2)理論研究として、社会内処遇・更生保護、施設内処遇を中心に問題構造の分析・検討を進めた。施設内処遇と同様、少年法の理念をいかに理解するかが社会内処遇でも重要になっていること、それが遵守事項違反時の対応にも反映する可能性があることを確認した。 (3)実証研究は、オンラインの活用を図ることにより積極的に実施した。特に付添・弁護実務経験者へのインタビューは複数実施すことができた。施行に移された特定少年制度の実務運用につき確認すべく、インタビューを積み重ねてきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の(1)比較法研究のうちの実地調査および(3)実証研究の実地調査については、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、当初計画よりもやや遅れがある。しかし、(1)比較法研究のうち一部の国については調査を行うことができ、また、基礎的な文献資料の収集・分析は、順調に進んでいる。その成果の一部は、すでに論文として公表もしている。 (2)理論研究は、日本の年長少年をめぐる理論的、実務的、政策的問題の分析を順調に行っている。これについても、その成果の一部は、学会報告として公表している。 (3)実証研究は、実務経験者へのインタビューを進めている。対面のほかオンラインを活用することでインタビュー調査を軌道に乗せることができた。 実地調査にやや遅れがあることを考慮して、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の社会的影響も落ち着きをみせつつあることから、やや遅れがある(1)比較法研究のうちの実地調査および(3)実証研究の実地調査を一層積極的に進める。 (3)実証研究のうちインタビュー調査を、オンラインを積極的に活用することにより、一層強力に推進する。 (2)理論研究の部分については、積極化を図る(1)比較法研究と(3)実証研究の成果を踏まえて、一層推進する。
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