2021 Fiscal Year Annual Research Report
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20H01471
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
川上 高司 拓殖大学, 付置研究所, 教授 (90340017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前嶋 和弘 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (10350729)
松田 康博 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (50511482)
中林 美恵子 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授(任期付) (90371187)
志田 淳二郎 名桜大学, 国際学部, 准教授 (90782318)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 宇宙と安全保障 / 安定的な宇宙利用 / デブリ / 宇宙作戦能力 / 宇宙状況監視能力 / スペース・パワー / 宇宙空間での中国台頭 / 宇宙でのサイバーセキュリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、今年度もCOVID-19の世界的流行により、国内外への出張等を含めた調査活動に非常な困難が生じたため、各委員は文献や資料に基づいて、それぞれのテーマにおける課題の現状把握、及び課題に影響を与え得る政治状況・環境について、個別の調査・研究を行い、その成果をオンラインでの研究会などを通じて議論した他、成果について各自で発表等を行った。 本研究の研究体制は安全保障理論、アメリカ分析、中国分析、ヨーロッパ分析の4つのチームから構成される研究体制で行われる。第一の安全保障理論チームでは、ハイブリッド戦が取り沙汰される現状で各戦域・ドメイン(領域)と宇宙ドメインがどのように関連しているのかの理論的な追求、第二のアメリカ分析チームでは、2020年のアメリカ大統領選挙の結果が宇宙の安全保障政策にどのような影響を及ぼすかをトランプ政権での宇宙政策と比較しての分析、第三の中国分析チームは、中国政府の対米宇宙政策、特に「知能化された戦争」の追求において宇宙アセットをどのように利用しようとしているのか、またどのように位置づけているのかの分析、第四のヨーロッパ分析チームでは、増大するロシアの脅威に対してNATOがどのように対応しようとしているのかを中心に文献調査を行った。 2022年度末には、ロシアによるウクライナ侵攻が起こり、そこでの宇宙アセットの使用、及びそれに対して各国がどのように反応したのか、に関する分析が課題として挙げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
宇宙の安全保障の2021年の実施状況は、アメリカで行われた大統領選挙の結果、バイデン政権が誕生しその外交政策および安全保障戦略として国家防衛戦略(NDS)を2021年12月に出した。その新戦略に沿いアメリカの宇宙戦略は全領域戦(オールドメイン)戦争の一環として位置づけられた。特に宇宙やサイバーといった新たなドメインにおける安全保障の理論(例:マルチ・ドメイン作戦)と類似の概念としてハイブリッド戦争が、マルチドメイン作戦とハイブリッド戦争は異なる系譜に位置付けられる安全保障理論であることを解明した。また、台湾をめぐる米中の安全保障政策における宇宙政策の先鋭化の分析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は各委員がそれぞれの担当分野での研究を進める。新型コロナウイルス感染拡大による社会経済的混乱が一定程度に収束すれば、文献調査のみでは解明できない各種論点について聞き取り調査を含めた現地調査を随時行うことを各委員は予定している。具体的にはアメリカの政権交代にともなう宇宙安全保障に関する米国の宇宙政策の変化。また、それにもともなうロシア、欧州、中国における、宇宙安全保障に関する米欧関係、理論分析、中国の宇宙政策および日本外交・安全保障への示唆、を中心に調査を実施する予定である。さらには、イーロンマスクの宇宙産業動向も探ることとする。アメリカでは民間の軍事への参入が顕著になりつつある。その意味でも宇宙軍事技術の軍事部門からの軍事産業へのスピンオフ、および、米軍事産業から軍事部門へのスピンオンもますます顕著となり、その実態も探る予定である。
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