2021 Fiscal Year Annual Research Report
Information acquisition and recommendation systems for consumption of experiential goods
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20H01478
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石川 竜一郎 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (80345454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 守 筑波大学, システム情報系, 名誉教授 (40114061)
秋山 英三 筑波大学, システム情報系, 教授 (40317300)
花木 伸行 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (70400611)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 情報取得 / 金融市場 / ゴミ箱モデル / 資産市場 / 限定合理性 |
Outline of Annual Research Achievements |
経験財に対する情報収集行動を考察するために、(1) 金融市場における情報取得スピードの差と(2)組織内における情報収集行動における時間制約の観点から分析した。 (1)では、金融市場における情報取得のスピードの違いに注目した。金融市場においてはアルゴリズミスティック・トレードが普及し、主体の情報取得の速さがその取引戦略にも影響を与える。しかし、そのスピードにトレーダー間で差がある場合に、市場の安定性やトレーダーの収益性にどのような影響を与えるかについては、議論されていない。トレーダー間の情報取得の非対称性は、海外投資家と国内投資家、インサイダーとアウトサイダーなど、様々な場面で観察されることがある。海外投資家と国内投資家、インサイダーとアウトサイダーなど、情報を得るための手法や言語などが異なるため、金融商品の基礎的価値に関する情報を得る速度も異なる。そこで、情報取得速度の差がいつ生じるのか、価格制限が金融市場の安定性にどのような影響を与えるのか、ファンダメンタルズ価値の情報を取得する速度が異なるトレーダーの収益性をダブルオークションの人工市場を使ってシミュレーションした。その結果、トレーダー間で情報取得のスピードに差がある場合、価格制限が必ずしも市場の安定性を高めるとは限らないことがわかった。 (2)では、実際の組織の意思決定が「目標が曖昧で、原因と結果の関連性が不明確で、組織の活動やサブグループへの参加が流動的な環境において、多くの自律的な行為者が境界合理性をもって活動する」、いわゆる「ゴミ箱モデル」を用いて、ゴミ箱(機会)の決定に時間的制約を導入することで、組織的アナーキーから生じる問題をどの程度改善できるかを調査した。時間制約の導入により、未解決問題の数が減少すること、また、特定の組織構造において、ある長さの時間制約で解決済み問題の数が最大になることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度では、理論を応用するための具体的な対象として、金融市場と組織に注目した分析を行った。これらの応用可能な対象を分析することで、情報提供システム構築のための主体の行動特性や学習過程の知見を得るに至った。その結果、本プロジェクトの理論の根幹部分の大枠を完成させることができ、次年度に向けた準備が整ったといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
具体的な対象からの知見を抽象化し、その特徴を統合モデルに組み込むための準備を進めていく。これにより情報収集行動とそこから生成される集合知メカニズムの設計理論などに応用し、その実行・実装可能性についての考察を進めていく。
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Research Products
(3 results)