2020 Fiscal Year Annual Research Report
ファクターモデルと罰則化法を用いた時系列・パネルデータの計量分析:理論と応用
Project/Area Number |
20H01484
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
早川 和彦 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 教授 (00508161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 宏 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 教授 (90292078)
山形 孝志 大阪大学, 社会経済研究所, 特任教授(常勤) (20813231)
植松 良公 一橋大学, ソーシャル・データサイエンス教育研究推進センター, 准教授 (40835279)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パネルデータ / ファクターモデル / 共トレンド推定 / 罰則項付縮小ランク回帰 / Weak factors / Multiple testing |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,ファクターモデルと罰則化法を用いて,時系列・パネルデータを分析するための新しい統計手法を開発し,関連する実証研究を行うことである。 本年度は、早川は,動学的パネルデータモデルのバイアス修正モーメント推定量を提案した。研究成果をまとめた論文は有力な国際学術誌に掲載が決定した。 早川・山形は,パネルデータモデルのグループ構造分析の前段階として,クロスセクションで回帰係数が異なるパネルデータモデルの分析手法の開発をおこなった。具体的には,Bai (2009)によって提案された推定量は,すべてのクロスセクションで回帰係数が均一であるモデルを想定していたが,説明変数がファクター構造を持っている場合,回帰係数がクロスセクションで異なる場合でも,一致性と漸近正規性があることを示し,robustな推測方法を提案した。 山田は,罰則項付縮小ランク回帰を使用して,多変量時系列データの連続区分線形トレンド共有構造を解明するための新たな分析手法を開発し、応用分析も行った。研究成果をまとめた論文は有力な国際学術誌に掲載が決定した。 植松・山形は,「負荷行列のスパース性に誘導される弱いファクター」を持つ近似的ファクターモデルを定式化し、Uematsu et al. (2019)によって提案されたSOFAR推定に基づく推定理論の構築を進めた。また、これと同時に,同モデルにおける負荷行列のスパース性を検証するための多重検定に基づく方法論を提案した。これらをそれぞれ論文にまとめ,海外専門誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究実績のなかで、計7本の論文が完成し、国際学術雑誌に投稿した。そのうち、 3本が掲載許可され、残りの4本についても、改定要求の依頼が来ている。また、途中経過を国際学会で報告するなど、研究は着実に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
早川・山形は、査読者・編集者からのコメントに沿い、大幅な改訂を行っていく。 山田は、今年度開発した多変量時系列データの連続区分線形トレンド共有構造を解明する分析手法の改善に取り組む。 植松・山形は、投稿した2つの論文を、査読レポートをもとに改定していく予定である。また、本研究で得られたモデルと推定手法を、高次元共分散推定や大規模ポートフォリオ選択問題に応用していく予定である。
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