2020 Fiscal Year Annual Research Report
Institution, Policy and Aggregate Implications
Project/Area Number |
20H01495
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石瀬 寛和 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (80729179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 隼人 大阪大学, 経済学研究科, 准教授 (30837703)
朱 連明 大阪大学, 社会経済研究所, 准教授 (60770691)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 制度 / 異質性 / 集計量 / 貿易 |
Outline of Annual Research Achievements |
- 制度と貿易 隣接国間において鉄道での接続が貿易を増やすかどうかについて実証的に検証を進めた。古典的な重力モデルの説明変数の一つに鉄道での接続状況を含め、その効果を見ると正の効果があることが確認できる。しかし、鉄道で接続するかどうかは現在の貿易額や将来の貿易額の期待値などによって影響を受ける内生変数であり、通常の重力方程式の推計は内生性のバイアスを持ちうる。そこで、貿易額には影響を与えないが、鉄道の接続状況には影響を与えうる変数を用いた操作変数推計を行った。ここで操作変数は、当該国間の鉄道軌間が一致しているかどうかを表すダミー変数を用いている。軌間はある国の地理的状況や、鉄道が導入されたときの歴史的経緯に依存するため、これらの地理変数、歴史変数を構築し統御したうえで推計を行った。操作変数推計の結果は、通常の推計よりも大きな値であり、通常の推計が何らかの下方バイアスを持っている可能性を示唆している。現在、結果の頑健性の確認を行っている。 - 途上国に立地する多国籍企業の中間財立地選択 地元企業と異なり、多国籍企業は経済条件・経営環境の変化に機敏に反応し進出・撤退を行う。また途上国に立地する多国籍企業の特徴として、立地先の国内市場よりも輸出市場を重視する点があげられる。これらの点を考慮した理論モデルの構築につとめた。分析の結果、地元企業の設立固定費用の大きさに応じて多数の多国籍企業が進出する均衡・少数しか進出しない均衡のいずれか・または両方が出現しうることがわかった。とくに固定費用の大きさが中間的ば場合には、両者の均衡が同時に安定的な状態となり、そのどちらかが実現するかは初期条件や地元・多国籍企業の期待によって決まる。また、多国籍企業が生産において輸入中間財に比して地元中間財をより重視する場合は、経営環境の悪化によって容易に撤退することはなく強靭性を示すことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最新の手法に関して海外から研究者を招聘して情報収集を行う予定であったものが、新型コロナウイルスに伴う世界的な渡航制限によって、招聘が行えず計画に大幅な遅れが出ている。また、データ分析の前提となる資料収集も20年度中には行えなかった。信仰可能な部分から研究を進める形で研究を行ったこと、および招聘の代替措置として、21年春以降の渡航制限の緩和を利用して研究代表者が渡航を行う形で情報収集および資料収集を行っている。これにより、研究遅滞は一定程度埋め合わされている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っている分析を最新の分析手法に統合するために、引き続き分析手法に関する情報収集を行うとともに、資料収集を行う。
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Research Products
(7 results)