2021 Fiscal Year Annual Research Report
Institution, Policy and Aggregate Implications
Project/Area Number |
20H01495
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石瀬 寛和 大阪大学, 大学院国際公共政策研究科, 准教授 (80729179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 隼人 大阪大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (30837703)
朱 連明 大阪大学, 社会経済研究所, 准教授 (60770691)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 制度 / 異質性 / 集計量 / 貿易 |
Outline of Annual Research Achievements |
- 隣接国間において鉄道での接続が貿易を増やすかどうかについて実証的に検証を進めた。操作変数として、当該国間の鉄道軌間が一致しているかどうかを表すダミー変数を用いている。軌間はある国の地理的状況や、鉄道が導入されたときの歴史的経緯に依存するため、これらの地理変数、歴史変数を構築し統御したうえで推計を行った。操作変数推計の結果は、通常の推計よりも大きな値であり、通常の推計が何らかの下方バイアスを持っている可能性を示唆している。さらに、鉄道での接続状況と交絡が起こりえる道路での接続状況に関して同様にデータを構築し、その状況を統制して結果が頑健であることを確認した。現在、さらなる結果の頑健性の確認を行っている。
- 金融政策の変化が貿易を通じて国内の状況を変化させるとき、交易条件の変化が長期的に望ましい金融政策(最適物価変化率)に影響を与えることを理論的に示した論文の公刊が決定した。中央銀行は、年率2%程度のプラスが望ましい物価上昇率としている一方、古典的な理論では最適物価上昇率はマイナスで、価格に硬直性がある状況を考えた場合でも長期的にはゼロである。こうした矛盾点を踏まえて、貿易を考慮したときに、長期的に望ましい物価上昇率がゼロより大きくなるケースもあることが確認した。ここでの結果は「物価上昇率が変わると、為替が変わり、その結果貿易に影響を与える」という通常言われる短期的な効果ではなく「恒常的な物価上昇が産業構造に影響を及ぼし、貿易のパターンにも影響を与える」という長期的な影響である。また、日米英加のデータと照らし合わせると、その効果が無視しえない大きさを持つことも示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最新の手法に関して海外から研究者を招聘して情報収集を行う予定であったものが、新型コロナウイルスに伴う世界的な渡航制限によって、招聘が行えず計画に大幅な遅れが出ている。また、データ分析の前提となる資料収集も20年度中には行えなかった。進行可能な部分から研究を進める形で研究を行ったこと、および招聘の代替措置として、研究代表者が渡航を行う形で情報収集および資料収集を行った。これにより、研究遅滞は一定程度埋め合わされている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っている分析を最新の分析手法に統合するために、引き続き分析手法に関する情報収集を行うとともに、資料収集を行う。
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Research Products
(1 results)