2022 Fiscal Year Annual Research Report
China shock, Trump schock: Who are the victims?
Project/Area Number |
20H01501
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
伊藤 匡 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (40550413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神事 直人 京都大学, 経済学研究科, 教授 (60345452)
椋 寛 学習院大学, 経済学部, 教授 (90365065)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 米中貿易摩擦 |
Outline of Annual Research Achievements |
所謂「中国ショック」(中国からの急激な輸入の増加)が日本企業の雇用・売上・労働者一人当たり売上高に与えた影響についての分析(本研究課題のサブテーマ①)、及び同ショックに対する日本企業側の調整対応に関する分析(本研究課題のサブテーマ②)について、それぞれディスカッションペーパーにまとめた。 また、不確実性上昇の貿易・投資への影響分析(本研究課題のサブテーマ⑤)に関して、日本企業の企業レベルデータを用いて政策的不確実性がFDIに与える影響に関する分析を実施、論文を査読付学術専門誌に投稿した。トランプショックがFDIなどの企業活動に与える影響を定量的に分析するために、定量的貿易一般均衡モデルを構築し、予備的分析を行った。トランプショックによる不確実性の高まりが企業活動に与える影響を分析する上で、複数の不確実性の相関が重要である可能性に着目して、先行研究を参考にしながら、分析枠組みについて検討を行い、予備的分析を行った。 また、トランプショックのその他諸国(特に日本、韓国)への間接効果に関する分析(本研究課題のサブテーマ④)に関して、中国ショックやトランプショックの日本の貿易に対する影響について詳細な分析を行うために、輸出入申告データを用いたデータセットの構築作業を進めた。 本研究課題のサブテーマ③の交易条件改善効果に関連する研究として、関税パススルーについて、グローバル・バリュー・チェーンが発達している状況において、関税の引き下げが貿易を大きく上昇させる増幅効果(Magnification Effect)に関する研究が英文査読誌に受理され出版された。また、関税還付制度が自由貿易協定に与える影響に関する論文の改訂を進めた。さらに、WTOの紛争処理手続きの利用に関するデータを整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「中国ショック」(中国からの急激な輸入の増加)が日本企業の雇用・売上・労働者一人当たり売上高に与えた影響についての分析(本研究課題のサブテーマ①)、及び同ショックに対する日本企業側の調整対応に関する分析(本研究課題のサブテーマ②)については、予定通り。不確実性上昇の貿易・投資への影響分析(本研究課題のサブテーマ⑤)に関してはほぼ予定通り。本研究課題のサブテーマ③の交易条件改善効果に関連する研究も予定通りである。しかしながら、ディスカッションペーパー段階の論文を国内外の学会にて発表し、更に磨き上げる部分については、データ分析においてエラーが多く発生し同エラーの修正に時間を要したため、若干の遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
トランプショック(本研究課題のサブテーマ③、④)について2021年度にディスカッションペーパーとした論文を学術雑誌へ投稿したが、受理されない結果に終わった。査読者レポートの内容を精査し、必要な改訂を実施する。また、近年計量経済学分野にて急速に発展している因果推論の最新の手法を採用することを試みる。 不確実性の貿易・投資への影響分析(本研究課題サブテーマ⑤)に関して、前年度の予備的分析を踏まえて、トランプショックがFDIなどの企業活動に与える影響に関する定量的分析を本格的に進める。同じく前年度の予備的分析を踏まえて、複数の不確実性の相関に着目して、トランプショックによる不確実性の高まりが企業活動に与える影響に関する分析を進める。また、前年度から構築作業を進めている輸出入申告データに基づくデータセットを用いて、中国ショックやトランプショックの日本の貿易に対する影響に関する予備的分析を行う。 交易条件改善効果(本研究課題のサブテーマ③)に関連して、関税還付の論文を英文査読誌に複数回投稿したものの、受理されなかった。引き続き改訂作業を進め、査読誌への受理を目指す。また、WTOの紛争処理手続きに関する実証分析を実施する。
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