2022 Fiscal Year Annual Research Report
International transfer of railway managements in the Imperial Japan:Focusing on the business administration and the human resource management
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20H01521
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 尚史 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (60262086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 采成 立教大学, 経済学部, 教授 (40760228)
澤井 実 南山大学, 経営学部, 研究員 (90162536)
ばん澤 歩 大阪大学, 大学院経済学研究科, 教授 (90238238)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日本帝国圏鉄道 / 東アジア鉄道史 / 国際比較 / 国際関係 / 人的資源 / 経営管理 / 経営システムの国際移転 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度にはコロナ禍の間隙を縫いつつ、研究代表者や研究分担者がそれぞれ海外資料調査を行い、海外で開催された国際会議やシンポジウムに参加して、研究成果の発信に努めた。また年間3回の研究会をオンラインと対面を組み合わせつつ実施し、1回の国際シンポジウムを海外研究協力者が所属する台北大学(台湾)で実施した。なお研究代表者と研究分担者の個々の研究内容は以下の通りである。 研究代表者の中村は、6月にアメリカで資料調査を行い、8月に世界経済史会議(於パリ)で、20世紀初頭の日米機関車貿易における日本商社の活動実態と役割について報告し、11月に台北大学で開催した国際シンポジウムで東アジアの輸入機関車市場の動向に関する報告を行った。 研究分担者の林は、日本帝国圏鉄道において人的運営管理のために展開された賃金制度、採用、昇格、教育、労使関係などと人事制度を比較分析するため、本年度も国内外で資料収集を行った。そして、収集資料の分析作業を通じて、日本内地と外地との相違性、植民地雇用構造、経済不平等などを解明している。 同じく沢井は、2つの研究を進めた。第1に朝鮮総督府鉄道局の事例を中心に、日本帝国圏鉄道における技術者の配置状況と技能者の技術形成について検討した。第2に1930・31年のソ連鉄道工場への鉄道技術者派遣問題を取り上げ、日本人技術者の鉄道車輌修理業務に関する指導を要望したソ連鉄道関係者は日本視察で何を見たのか、また訪ソした日本人技術者はソ連の鉄道工場において具体的に何を指導し、その成果はどのように評価できるのかを検討した。 同じくばん澤は、ドイツと日本の鉄道業における組織管理の比較という視点に関連し、ドイツの国鉄統合に至る経営実態について計量分析的な指標を求める作業に並行して、日本並びに旧「満洲」の鉄道業とドイツ鉄道業との接触について現地調査を含む観察分析にとりかかっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、コロナ禍の間隙を縫って、海外調査を再開することができ、台湾での国際シンポジウムも実施できた。 また2022年8月には研究代表者(中村)と研究分担者の一人(林)がフランス・パリで開催された世界経済史会議に参加し、研究成果の一部を報告した。 さらに共同研究全体についても、11月に開催した台北大学での国際シンポジウムにおいて参加者全員が中間的な研究成果の報告を行い、台湾の研究者から極めて有益なコメントをいただけた。 このように、コロナ禍によって滞っていた研究が、一気に進展し始めた点が上記の自己評価に至った理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度中に、2023年5月に福岡で開催される社会経済史学会全国大会のパネルディスカッションに応募し、採択された。このパネルでは、メンバー各自が現時点における共同研究の成果を報告し、専門家にコメントをいただくことで、研究内容の充実を図りたいと考えている。 このパネルでの成果報告に対するコメントならびに討論をふまえて、夏期休業中に追加的資料調査を行い、秋以降、メンバー各自が研究成果の最終的なとりまとめを行う。その内容を、研究会でブラッシュアップした上で、来年度以降、研究成果を研究書として刊行することを目指していきたい。
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Research Products
(16 results)