2020 Fiscal Year Annual Research Report
在アジア日系製造企業における「組織」「販売・マーケ」「調達」の現地化の統合的研究
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20H01526
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大木 清弘 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 准教授 (20611073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 憲史 上智大学, 経済学部, 准教授 (20867478)
金 熙珍 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (40634530)
臼井 哲也 日本大学, 法学部, 教授 (60409422)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多国籍企業 / 現地化 / 日本企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、在アジアの日系製造業企業の海外子会社を対象に、「①組織の現地化、販売・マーケティングの現地化、調達の現地化は、それぞれ他の現地化を促進するのか」「②各現地化戦略は他の現地化戦略と海外子会社のパフォーマンスの関係に対してどのような調整効果を持つのか」の二つの問いに答えることを目的とする。そのために1年目は文献レビューと企業調査を予定していた。 まず、文献レビューについては、既存研究においてlocalization(現地化)がどのような使われ方をしてきたのかを、計量書誌学的アプローチで分析した。既存研究に従い、キーワードを設定し、論文データベースで検索をすることで、多国籍企業のlocalizationに関連する既存研究を抽出した。雑誌のランク、および内容を精査した結果、約100本の論文が対象となり、それについて「どのような定義か」「どのような分析をしているか」「どのような結論が出ているか」をコーディングした。結果、localizationはreplacementとadaptationのいずれかの意味で用いられていること、複数の現地化を同時に扱っている研究はないことなどが明らかになった。これらを元にしたレビュー論文を、来年度投稿する予定である。 企業調査については、新型コロナウィルスの影響で現地調査ができなかったため、各自は公刊データの分析及びこれまでの調査データの見直しにより論文執筆を行った。例えば、新型コロナウィルスの蔓延が日本企業の現地化に与える影響について、JETROのデータから分析したものを、学会で報告した。また、技術実習生の派遣が海外子会社に与える影響という、現地化に関連する論文を上梓した。 以上の調査結果を元に、来年度中に仮説を構築し、可能であれば一度目の質問票調査を行う。ただし、新型コロナウィルスの蔓延の状況を踏まえて、質問票調査ではなく、その他の代替手段を取る可能性もある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外子会社への訪問はできなかったものの、localizationに関するシステマティックレビューを通じて既存研究の穴を確認できた。また研究としても、過去の調査を元にした論文を上梓したり、新型コロナウィルスのような最新の事象を分析した明らかにする研究を行えた。調査の面でも、海外子会社への訪問はできなかったが、オンラインで企業人とのインタビューは重ねており、現状の日本企業への理解は深めている。そのため、研究の進展には大きな問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は既存研究レビューの内容を精査したうえで、いくつかの企業への調査を通じて仮説を構築し、海外への1回目の質問票調査を予定している。しかし、海外への郵送質問票調査は、新型コロナウィルス蔓延の影響で難しい可能性もある。その場合は、東洋経済や経済産業省のデータによる分析、もしくは本社側への質問票調査に置き換える。 成果物としては文献レビューに関する論文を投稿する。また、可能であれば仮説構築的な論文を執筆し、質問票調査のベースとなる理論構築を行う。
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Research Products
(3 results)