2021 Fiscal Year Annual Research Report
在アジア日系製造企業における「組織」「販売・マーケ」「調達」の現地化の統合的研究
Project/Area Number |
20H01526
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大木 清弘 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 准教授 (20611073)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 憲史 上智大学, 経済学部, 准教授 (20867478)
金 熙珍 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (40634530)
臼井 哲也 日本大学, 法学部, 教授 (60409422)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 多国籍企業 / 現地化 / 現地調達 / 逆駐在 / 駐在員 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は1年目の文献レビューと定性分析の結果を踏まえて、「促進要因」「調整効 果」の双方を含んだ質問票調査を行う予定だった。しかし新型コロナウィルスの蔓延により質問票調査が実質的に不可能だったこと、また、現地化の状況が新型コロナウィルスの蔓延により大きく変わったため、研究の方向性を2つ変更した。 1つは、質問票調査の延期である。質問票調査に必要なプレテストが行えなかったため、結果として質問票調査の一部は2022年度末に行われることになった。そのため本年度の研究の成果は2022年度の研究成果と合わせた形で行われている。 2つ目は質問票調査の内容の変化である。現地化の状況について尋ねることは変わらないが、パフォーマンスは社会状況の影響を大きく受けているため、むしろコロナの影響を尋ねるようなものとした。パフォーマンスについては、2023年度の研究でその関係性を探求する予定である。 本年度の成果としては、2021年度までの研究によって英語論文が2本上梓された。Oki & Kawai (2022)では部材の現地化が海外子会社のパフォーマンスに与える影響を、instutitonal theoryの観点から分析したものであり、制度的距離がdownwardに離れている国において、local sourcingが正当性獲得行動として受け止められ、海外子会社のパフォーマンスに正の影響を与えることを定量的に明らかにした。一方、Kim et al. (2022)では、逆駐在という現地人材ための制度が海外子会社の能力構築に与えるメカニズムを、定性研究から明らかにした。いずれも海外ジャーナルに掲載されたものであり、十分な研究成果といえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
質問票調査の遅れについては遅延といえるが、それを補うレベルでの論文の執筆ができている。実際に英語論文を現時点で2本上梓で来ているのは、研究の成果としては想定以上である。また、質問票調査についても、コロナの影響を踏まえた、より現実に即した調査ができており、研究成果の独自性は増している。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度は研究の集大成として、定性・定量を合わせた研究を行う。 まず、2022年度に行った質問票調査を分析したうえで、各企業にフィードバックを行う。その際に得られた情報を元に、新型コロナウィルスの蔓延と現地化の関係、さらにそこで起きた現地化状況の変化が企業のパフォーマンスにどのような影響を与えたのかを、定性・定量の双方で分析する。 定性分析については、質問票調査を基にした定性分析という、ミックスメソッドの研究を行う。一方定量分析については、そこで得られた定性情報を元に仮説を構築した後に、定量分析を行うというタイプのミックスメソッドの研究を行う。この定量分析については、当初の予定通り、経済産業省の海外事業活動基本調査の個票データや東洋経済のデータを合わせた分析を行い、頑健性のある分析を行う。 これらの研究成果はすべて海外ジャーナルへの投稿を目指す。また海外ジャーナルだけでなく、企業向けのフィードバックなどの形で、現実への還元も行っていく。
|
Research Products
(2 results)