2022 Fiscal Year Annual Research Report
在アジア日系製造企業における「組織」「販売・マーケ」「調達」の現地化の統合的研究
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20H01526
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大木 清弘 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 准教授 (20611073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 熙珍 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (40634530)
臼井 哲也 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (60409422)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多国籍企業 / 現地化 / 駐在員 / 逆駐在 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は新型コロナウィルスの蔓延が収まったことを踏まえて、2021年度に行えなかった調査と合わせて、企業の実態を明らかにするためのインタビュー調査と質問票調査を行った。 まず全体の方針として、現時点で現地化とパフォーマンスの関係を明らかにする際、新型コロナウィルスの影響は避けて通れないため、「新型コロナウィルスの蔓延に伴う人材、機能、部材の現地化」に焦点を当てつつ、それらがどのような要因によって加速・減速するのか、並びにそのような現地化が企業のパフォーマンスにどのような帰結をもたらすのかを、主たる研究のテーマに再設定した。これは、現地化と企業のパフォーマンスを明らかにするという当初の目的の枠組みの中で、より現実に即した研究とするための変更である。 まず、在イタリアの日系企業6社にインタビュー調査を行った。イタリアという、中国に次いで新型コロナウィルスの影響を受けた国において、コロナの蔓延が現地化に影響を与えたのか、それがパフォーマンスにも影響を与えたのかに関する事例を収集した。現時点でも議論中ではあるが、「いつ駐在員を戻すかや出張者を受け入れるかのタイミングには若干の差があること」「現地に長くいる日本人、または現地に長く勤めている現地人材がキーマンとなっているケースがみられること」が明らかになった。 次に上記の定性分析で得られた情報を活用し、質問票調査を行った。郵送調査が社会的に広く受け入れられる時期を見計らっていたため、2022年度末の調査となったが、現時点で数百の回答を得ている。これらの分析を2024年度中に行う予定である。 研究の成果としては、2022年度までに各自が行ってきた分析から、学会報告3件、論文1本、ワーキングペーパー1件を上梓した。それらは概ね、現地調達に関する研究、逆駐在員に関する研究、理論枠組みに関する研究、マーケティングに関する研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの影響を受けながらも、海外調査と質問票調査を行えたため、研究に必要なインプットを十分に収集できている。また、そのような状況で成果も4件出せているため、順調であると考えている。、
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は研究の集大成として、定性・定量を合わせた研究を行う。 まず、2022年度に行った質問票調査を分析したうえで、各企業にフィードバックを行う。その際に得られた情報を元に、新型コロナウィルスの蔓延と現地化の関係、さらにそこで起きた現地化状況の変化が企業のパフォーマンスにどのような影響を与えたのかを、定性・定量の双方で分析する。 定性分析については、質問票調査を基にした定性分析という、ミックスメソッドの研究を行う。一方定量分析については、そこで得られた定性情報を元に仮説を構築した後に、定量分析を行うというタイプのミックスメソッドの研究を行う。この定量分析については、当初の予定通り、経済産業省の海外事業活動基本調査の個票データや東洋経済のデータを合わせた分析を行い、頑健性のある分析を行う。 これらの研究成果はすべて海外ジャーナルへの投稿を目指す。また海外ジャーナルだけでなく、企業向けのフィードバックなどの形で、現実への還元も行っていく。
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Research Products
(5 results)