2020 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Study of Double Ageing of High-Rise Condominium
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20H01562
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
平井 太郎 弘前大学, 大学院地域社会研究科, 准教授 (70573559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 さやか 筑波大学, システム情報系, 准教授 (70422194)
由井 義通 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (80243525)
大澤 昭彦 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (80619809)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 二重の老い / 超高層住宅 / グローバリゼーション / 都市再生 / 都心回帰 / 集合住宅管理 / 感染症拡大 / ポストコロナ |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、大澤により東京都における超高層住宅のリストの作成を進めたうえで、大澤・藤井を中心に、超高層住宅の開発に用いられた建築・都市計画制度の差異、開発時期、立地を勘案して、ケーススタディの対象を絞り込んだ。次いで、ケーススタディ対象について、あらためて建築・都市計画制度の多様性について藤井・大澤が整理した。さらに、由井と平井が国勢調査の小地域集計に着目し、ケーススタディ対象地区の社会経済的属性を分析した。この社会経済的属性においては、まず、開発時期が新しいものも含む超高層住宅でも、対象によっては東京都の平均的な高齢化状況を超える水準で高齢化が進んでいることをあらためて確認することができた。その原因として、超高層住宅居住者がいわゆる団塊の世代と団塊のジュニア世代に大きく偏っていることが指摘しえた。 こうした分析を踏まえ、東京都の超高層居住者を対象にした1000人規模のウェブ調査を実施し結果として1500人を超える回答が得られた。このウェブ調査では新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた生活・就業状態の変化とそれにともなう住宅・住宅地選好や集合住宅の管理のあり方に関する意識の変化に着眼した。結果として、生活・就業状態の変化が若年層や子育て層に偏って現れていること、さらに、そうした点も背景にして、集合住宅管理のあり方においても世代間の意識の差異が意識されはじめていることがうかがえた。同時に、超高層住宅に対しては、超高層住宅内の個々の住戸のあり方や資産としての有利性などの評価は、感染症拡大後も高まっているのと同時に、超高層住宅の管理のあり方については他の集合住宅形態に比べても不満が高まっているという矛盾が垣間見えた。この結果については、地域社会学会で報告を準備している。 並行して、国際比較のためのトロントにおける建築・都市計画制度や社会経済的属性についても整理・分析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた、東京とトロントにおける超高層住宅に関するデータベースの作成とそれにもとづいた戦略的なケーススタディ対象の絞り込みは順調に進んだ。次年度計画していたケーススタディ対象の文献調査・フィールド調査についても、文献調査はむしろ先取り的に進んでいるものの、感染症拡大の影響を受け、フィールド調査の実施可能性についてはめどが立っていない。それを補うべく実施したウェブ調査で、ケーススタディ対象に関しても有用だと考えられる知見が得られただけでなく、ケーススタディ対象地内の居住者から追加インタビュー調査への協力の意向が数多く得られた。感染症拡大の影響を鑑みつつ、まずはウェブ調査を起点とするインタビュー調査が実施できるめどが立った点は、大きな進捗であったと考えられる。 他方、依然として相当長期間にわたって困難だと考えられるのは、海外との比較研究の展開である。これについても、オンライン会議システム等により代替できる点は代替して進めてきたものの、フィールドスタディなどは代替できないため、苦慮しているところである。 こうした客観的な状況の下で、学術書や査読付学会誌に収録される学術論文の公刊をなしえた点でおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおりケーススタディ対象の文献調査・フィールド調査についても進める。文献調査の核の第1は、建築・都市計画制度の整理である。特に東京に関しては、建築・都市計画制度が、国レベルと都レベルとでそれぞれ輻輳しており、これまで十分に整理されてこなかった点からも困難ではあるが、必要不可欠な作業だと考えられる。文献調査の核の第2は、国勢調査等を通じた社会経済属性の整理である。これについては、国勢調査以外の統計にも目を配りつつ、2020年に実施された国勢調査の結果を踏まえた更新、場合によっては、ウェブ調査の再度の実施についても検討する。 フィールドスタディ、特に海外比較研究については、感染症拡大の影響を鑑みて慎重に判断し、研究全体の停滞を来たさないように、随時代替手段を講じる。その1つとして、昨年度実施したウェブ調査で追加のインタビュー調査に協力意向を示した方たちに適切なアプローチを行ってインタビュー調査を進めることである。
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Research Products
(6 results)