2022 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Study of Double Ageing of High-Rise Condominium
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20H01562
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
平井 太郎 弘前大学, 大学院地域社会研究科, 教授 (70573559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 さやか 筑波大学, システム情報系, 准教授 (70422194)
由井 義通 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (80243525)
大澤 昭彦 東洋大学, 理工学部, 准教授 (80619809)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 超高層居住 / 居住不安 / 世代間ギャップ / トランジション / 都市再生政策 / 容積緩和 / インフラ負荷 / 都心居住・都心回帰 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、2021年度に引き続き、独自の超高層住宅データベースと国勢調査小地域集計を突き合せることで把握した超高層住宅密集地に重点をおいた社会経済分析と、東京都区部を対象とした超高層住宅居住者に対するオンライン質問紙調査を進めた。並行して、都市再生政策の時系列分析を行って超高層住宅の建設緩和に関する施策の洗い出しを行った。 前者の居住者に関する研究では、単身居住者の場合、退職だけでなく転職、また雇用身分の変更、業績の悪化、家族の介護などにともなう所得の変動がしばしば見られ、管理費や賃料が相対的に高額な超高層住宅では居住の安定が損なわれやすいことを発見した。特に女性の場合、雇用身分の変更(管理職から非管理職なども含め)が行われやすいだけでなく、セクシュアルハラスメントなどによる心理的被害のリスクも高く、所得低下のリスクが顕著であると考えられた。本研究では、労働研究において被扶養者から自立する若年期の人生移行transitionのリスクに注目されている点に着想を得て、中・高齢期の所得低下も高齢社会における重要なtransitionであり「高齢期トランジション」と名づけ注意を払う必要があるとの認識を提示した。その結果は、Urban Planning誌と日本都市学会年報に投稿し採択された。 後者の政策に関する研究では、これまで注目されることの少なかった絶対高さ型地区制度が超高層住宅に開発に及ぼした影響を分析し、都市計画論文集に投稿して採択された。東京都心部の地域振興策では都市再生施策以前から一貫して都心居住推進策が採られ、超高層住宅の普及にともないその政策目的は達成されたものの、その普及は容積率の大幅緩和によるものであり、日照、景観、インフラ負荷等の負の影響をともなうものであったと評価され、今後、そうした意図せざる政策効果の評価とそれにもとづく対策の導出が必要とされると結論づけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
感染症拡大が収まらず特にセキュリティや感染拡大に敏感な超高層住宅では対面での聞き取り調査や観察調査などを行うことができなかった。このため、オンラインによる質問紙調査とそれにもとづくインタビュー調査、政策文書の検討や統計数値の分析しか行うことができず、能動的な働きかけの効果を探るアクションリサーチやインフラストラクチュアに対する負荷の実態に迫ることが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
感染症拡大の終息をにらみながら、機動的に質的な調査研究に移行できるように準備を進める。
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Research Products
(9 results)