2021 Fiscal Year Annual Research Report
ビッグデータ分析と実験の統合によるオンライン社会における場のダイナミクスの解析
Project/Area Number |
20H01563
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
瀧川 裕貴 東北大学, 文学研究科, 准教授 (60456340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 豊 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (00348905)
大林 真也 青山学院大学, 社会情報学部, 准教授 (10791767)
稲垣 佑典 統計数理研究所, データ科学研究系, 客員准教授 (30734503)
阪本 拓人 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40456182)
常松 淳 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (40570023)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ビッグデータ / 計算社会科学 / デジタル実験 / マクロ社会学実験 / インターネット掲示板 / 文化資本 / センチメント分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、新型コロナウイルス流行により、修正した研究計画に基づいて、ビッグデータ分析とデジタル実験の統合に向けていくつかのデータ分析とデジタル実験を遂行した。まず、ビッグデータ分析については、クラウドファンディングにおけるファンディングの成否を決めるメカニズムの解明を目標とした。そこで注目したのが、感情による動員のメカニズムである。このメカニズムを明らかにするために、クラウドファンディングのミッションステートメントのテキストをセンチメント分析することで、感情とファンディングの成否の関係を明らかにし、その上でクラウドファンディングを模した実験により因果メカニズムを解明するという目標をたてた。現時点では、テキストのセンチメント分析のためのコード化スキームまで構築が終了している。また、デジタル実験は2つのテーマで行なった。一つは、デジタル世界における文化資本の社会関係資本への転換メカニズムの解明を目標とした実験である。先行研究で、SNSデータを用いて、このメカニズムの検討が行われているが、観察データから因果についての知見を引き出すことは困難である。そこで、SNSにおける友人選択を模した実験サイトを構築して、人々が、いかなる文化的な選好に基づいて、友人選択をおこなっているかについてのデータを集めた。二つ目は、インターネット掲示板における社会動学の解明に関わるマクロ社会学的実験である。パラレルワールドアプローチを採用して、ニュースに関するインターネット掲示板をさまざまなマクロ条件のもとで複数構築し、それぞれの条件の相違によって、コミュニケーションの頻度や質、攻撃性や互酬性などがどのように変化するかを調査した。これらのデータの詳細な分析は次年度に行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症流行のため、当初の計画から若干遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度なので、ビッグデータ分析と実験を統合して、オンラインの場のダイナミクスの解析を行なった最終的な成果をまとめる。具体的には、第一に、今年度に行った2つのデジタル実験の成果を分析するとともに追加的な実験やビッグデータ収集・分析を行い、知見を補強する。第二に、クラウドファンディングのビッグデータ分析を補完する実験を行い分析する。 インターネット掲示板のマクロ社会学実験データは、実験の側面とビッグデータの側面を併せ持つ。一つの世界につき、40人の参加者が2週間にわたって相互行為をおこなったデータがすべて記録されているためである。この設定により、人々の実際の行動のダイナミクスを明らかにしつつ、マクロ条件の相違による因果効果も明らかにできる。SNSにおける友人選択実験はそれ自体は、ビッグデータを含んでいないが、先行研究のビッグデータ分析の枠組みに沿って計画された実験であるため、両者の知見を合わせることで、オンラインにおける社会関係のダイナミクスを、文化資本の転換メカニズムに着目しつつ明らかにすることができる。 クラウドファンディングの分析は、ミッションステートメントの大規模テキスト分析の知見に基づいて、テキストに内包される感情を介入条件としたデジタル実験を行うことで、ダイナミクスと因果効果の両面からメカニズムを分析することを試みる。
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Research Products
(11 results)