2020 Fiscal Year Annual Research Report
Transnational Sociology of Supportiing Migrants : Life Stories Analysis of Migrant Supporters in the Philippines and Japan
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20H01586
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
小ヶ谷 千穂 フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (00401688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 聖良 神戸大学, 国際文化学研究科, 特別研究員(RPD) (20725915)
原 めぐみ 和歌山工業高等専門学校, 総合教育科, 准教授 (90782574)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 移住者支援 / 国際社会学 / 日比間の人の移動 / ライフストーリー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度である2020年度は、5月にオンラインでの研究打ち合わせを実施し、研究開始と同時に新型コロナウイルス感染症の拡大が始まったことによる計画の大幅な変更について議論した。その中で、可能なものについてはできるだけオンラインに切り替えて、当初の計画に沿って研究を遂行できるように体制を整えることとした。5月には、本研究の主要な調査対象であるフィリピン在住のマリガヤ・ハウスのスタッフに対して複数回のオンライン・インタビューを実施した。9月には、オンラインで研究打ち合わせを実施し、本研究の特色である越境的な移住者支援についての理論的検討を行った。また、2020年10月からは科研費研究員を雇用し、インタビューのトランスクリプト作成や、インタビューのスケジュール調整、資料収集などの作業補助を依頼した。 2020年12月には、本研究と同様に「支援者」の存在に着目して日本における反人身取引運動の研究をしている佐々木綾子氏(千葉大学)をスピーカーに招いたオンライン研究会を実施し、「社会問題の社会学」としての共通の視点について議論を行い、方法論も含めて多くの示唆を得ることができた。 2021年3月のフィリピン調査も実施できないことが判明した時点で2021年9月末まで本年度の研究を延長することを決定し、2020年2月にはオンラインでJFCネットワーク事務局担当者へのインタビューを実施した。また、3月にはオンラインで研究打ち合わせを実施し、これまでのインタビュー・トランスクリプトの確認と、今後のインタビュー対象者のマッピングの作業をあらためて行った。 2021年5月にはオンライン研究会を開き、同じく5月には元Batis Center for Womenのクライアントであった女性、7月には長く日比間の社会運動にかかわってきた大阪在住の支援者に対してそれぞれオンラインでインタビューを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究開始とほぼ同時に新型コロナウイルス感染症が拡大し、国内の移動制限および、本研究の1年目からの主たる研究活動であったフィリピンでの調査が、海外渡航制限によって実施できなくなったため、大幅に計画の延期およびオンラインへの切り替え等を行わなければならなくなった。フィリピンの個人家庭におけるインターネット環境が予想以上に悪く、長時間のインタビューには耐えられないこと、また、日本国内にあっても、長らく日比間で移住者支援にかかわってきた高齢の対象者には感染症の観点、およびオンラインへの切り替え不可といった問題が生じ、調査の実施に遅れが生じた。 しかしながら、その間に問題関心の近い研究者との研究交流や、文献研究、さらには出版計画についても議論を進めることができたことは収穫であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度においてもフィリピン調査の実施はかなわず、さらに研究計画の変更・延長を余儀なくされたものの、2022年度においては夏季にフィリピン調査を実施予定である。夏季調査では、オンライン・インタビューの実施が難しい、高齢の元支援者へのインタビューおよび、複数の支援組織に横断的にかかわってきた活動家・研究者たちとのフォーカス・グループ・ディスカッションの計画も立てている。 これまでに実施したインタビューのトランスクリプトは完成しており、それらを用いた研究論文も2022年度に刊行が決まっている(『社会運動史研究』)。加えて、英語での論文投稿の準備も進めている。 また、当初の予定にはなかったが今回の研究内容についての書籍出版計画が具体化してきており、今後は収集しているライフストーリーの分析と合わせて、あらためて日比間の人の移動の特徴についてのさらなる分析を進め、引き続き「移住者支援の国際社会学」の樹立に向けて、研究を遂行していく。
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