Outline of Annual Research Achievements |
非認知症高齢精神障害者に向けた福祉と医療の連携研究へ臨み, 2020年度は精神科訪問介護に携わる事業所の訪問介護員等, ならびに精神科デイケアに携わる診療所の看護師等へ, 福祉職と医療職の連携における現況ならびに課題の聞き取りをZoom等のクラウド型Web会議システムを用いて行った. その結果, 以下を導いた. 非認知症高齢精神障害者に関し, 統合失調症 (地域ケアリング 22(4), 58-62) を代表とする精神疾患の併存についての福祉職の理解と対応が重要であること, そうした精神医療との架橋役割において医療職と協働 (精神科治療学 35(11), 1261-1267) する精神保健福祉士に存立意義が認められ (精神保健福祉学 8, 27-37), 養成システム上の精神医学教育が再評価される (地域ケアリング 22(9), 86-91) ことを確認した. 一方で, このような精神保健福祉士の固有性が, 解消と強調の狭間にある (地域ケアリング 22(12), 72-77 / 23(1), 68-73) 近況にふれた. 発展的な論点として, 福祉職 (地域ケアリング 23(3), 58-64) と医療職 (精神科治療学 36(3), 319-326) がともに, 地域・在宅において累犯高齢者・知的障害者ならびに触法精神障害者の社会内処遇に携わる機会が増えており, そのなかで司法を交えた連携のあり方が課題となっている点が見い出された. 高齢精神障害者のなかでも統合失調症や不安症などを抱える人は, 中年~初老期に至って往々に孤立し, 自己表現も不得手であって適切な在宅サービスが届けられにくい場合が少なくない. 引き続き, 非認知症高齢精神障害者に着眼した福祉と医療の連携につき, クライエントと専門職双方の視座から研究の展開に努めていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績で概要を示した成果は, 科研費の申請に際し提出した計画におおむね沿って, あるいはそこより発展的に獲得され, 4年計画の初年度として所期の目標をほぼ達成し得たものである. 今後さらに, 継続して面接調査や学会発表, 論文作成などを進めていく所存である.
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