Outline of Annual Research Achievements |
非認知症高齢精神障害者に向けた福祉と医療の連携研究へ臨み, 2022年度はここまでに得られた認知症者および非認知症高齢精神障害者の別をわきまえた連携面の現況と課題より, 非認知症高齢精神障害者の在宅生活支援に現れやすい問いを抽出した. その結果, 以下を導いた. 理論面における学際性と, 実践面における地域での役割開放は, いまやメンタルヘルスケアの主潮である (地域ケアリング 25(3), 90-94). まず, 医療機関で認知症者と向き合う段階において, 福祉職は支援の至らなさを覚えつつも霧散させる「とまどい」を抱く (保健医療社会福祉研究 30, 65-75). こうした感情を在宅下の多職種連携の深化につなげる手段として, 福祉職-医療職共通の質が担保された研修プログラムの活用があげられる (日本認知症ケア学会誌 21(4), 564-575). 次いで非認知症高齢精神障害者に関し, かねての統合失調症における医療機関との連携 (社会事業史学会創立50周年記念論文集 第2巻, 427-457) とともに, 近年は触法高齢者の増加に伴う刑事司法との連携 (ソーシャルワーカー 21, 45-58) が地域ケア上のテーマとなり, 職能団体による教育面の関与が望まれる. また, 在宅場面における上世代への介護の視点 (精神科治療学 37(4), 427-434, 地域ケアリング 24(4), 56-61) とならび, 下世代への養護の視点 (地域ケアリング 24(10), 98-104) が家族機能の安定に結び付く. 昨年度からの発展的論点である, オンライン型と対面型の研究方法上の異同 (地域ケアリング 24(11), 102-107) にもふれ, さらに多職種連携が実践のみならず, 社会政策や国家資格制度から築かれる「政策を通した連携」の検討の必要性を提起した (地域ケアリング 25(1), 72-79).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績で概要を示した成果は, 科研費の申請に際し提出した計画におおむね沿って, あるいはそこより発展的に獲得され, 計画の3年目として所期の目標をほぼ達成し得たものである. 今後さらに, 継続して調査や学会発表, 論文作成などを進めていく所存である.
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