Outline of Annual Research Achievements |
非認知症高齢精神障害者に向けた福祉と医療の連携研究へ臨み, 2023年度は新たに見出された論点を整理し, 連携モデルとして集約した. その結果, 以下を導いた. エンドオブライフ期における家族や (死後の) 遺族とのかかわりをテーマとして抽出した. 精神障害を長年有した高齢者の死に対し, 近しい者は安堵すら覚え, そのような自らへの葛藤から喪の作業の遅延をきたし得る. スピリチュアルケアと宗教的ケアの適応をわきまえ (精神科治療学 39(2), 225-232), 本人が「死後なお生きている」ように接する (精神科治療学 38(10), 1209-1213) ことの有効性を提起した. こうした対応は (認知症者を含む) 連携場面でのピア活動 (地域ケアリング 25(4), 54-58) のなかをはじめ, 教育場面 (人間教育と福祉 12, 27-40) においても広く取り上げられてよい. さらに非認知症高齢精神障害者に関しては, 児童領域と通底する虐待予防・対応がテーマとなり, メゾレベルのコミュニティ・ソーシャルワークとミクロレベルの家族内の関係調整がチームアプローチの鍵にあげられる (精神科治療学 38(12), 1457-1462). 加えて, 地域に開かれた連携モデルにおいては, ソーシャルワーク機能を医療職や心理職 (地域ケアリング 25(14), 60-65) あるいは養護教諭 (健康相談活動学, ぎょうせい 44-45) などに委ねる選択肢も考慮される. 過去2年の発展的論点であるオンライン型と対面型の質的研究にかかわる異同については, 2023年度より挑戦的研究 (萌芽) に移行した. また昨年度の「政策を通した連携」における検討を, 国家資格・認定資格間のジェネリック―スペシフィック関係 (地域ケアリング 25(10), 58-63) ならびに高齢・知的障害領域のソーシャルポリシー教育 (人間教育と福祉 12, 27-40) 面より加えた.
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