2020 Fiscal Year Annual Research Report
地域を基盤とした「ヤングケアラーの発見・支援モデル」の検討
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20H01606
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
宮川 淑恵 (濱島淑恵) 大阪歯科大学, 医療保健学部, 教授 (30321269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 多恵子 京都光華女子大学, 健康科学部, 准教授 (10455040)
宮川 雅充 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (40389010)
尾形 祐己 大阪歯科大学, 医療保健学部, 助教 (30826657)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヤングケアラー / 若者ケアラー / 質問紙調査 / ピアサポート |
Outline of Annual Research Achievements |
第1に、2019年度に実施した尼崎市における事業所調査の結果を集計し、報告書を作成した。介護支援専門員の約8割が、相談支援専門員の約5割が担当ケースにヤングケアラーはいないと回答しており、専門職では把握しきれていない可能性が示唆された。また、介護支援専門員が支援をしたことがあるのは1割程度にとどまった。支援の阻害要因としては、社会資源がわからない、窓口がわからないという回答が多くみられた。相談支援専門員では、支援をしたことがあるのは約23%であり、介護支援専門員よりは多いものの、支援が一部にとどまっている可能性が示された。支援の阻害要因としては、社会資源がわからないという回答とともに、どのように関わり、支援すればよいかわからないという回答が多かった。 第2に、大阪市と共同で中学生を対象としたヤングケアラーに関する質問紙調査を実施した。速報値として、ヤングケアラーの存在割合は9.2%、週に1日以上ケアをしているケースに限定した場合でも、存在割合は6.7%であった。ケアをしている者の方が、遅刻、欠席、宿題忘れが多い傾向がみられ、友人関係、家庭の経済的な状況、自分の時間がないといった悩みを抱えている者が多かった。ほしいサポート・支援は、勉強のサポートが最も多く(約5割)、その他、家族や自分のことについて、一緒に考えてくれる支援、経済的な支援、家事のサポート等があげられていた。 第3に、(元)ヤングケアラーの支援実践を展開し、ピアサポートの方法、意義と効果の検討に着手した。リレートークと少人数でのフリートーク、中学生ヤングケアラーを対象としたレスパイトサービスの実践を積み重ね、地域の支援ネットワーク構築を築くことを目的として、周囲の関連施設、機関との関係づくりを進めている。今後、効果検証を行うための準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イギリスでの調査を通して、イギリスでのヤングケアラー支援の実際、その意義と課題の検討、多職種連携の方法について研究する予定であったが、コロナの感染状況により、現地調査が難しくなり、実施できなかった。また、大阪市における中学生を対象とした質問紙調査は実施機関との調整が必要であったため、実施時期が予定よりも数か月遅くなったため、年度内にすべての集計を行うことができなかった。その他は概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
大阪市で実施した中学生調査の集計、分析を完成させる。さらに、支援が必要なヤングケアラーを判断するための指標の開発に向けた分析を進める。 また、2年間実施してきた尼崎市、枚方市でのヤングケアラーへの支援活動の効果検証を開始し、ピアサポート、レスパイトサービスの意義と課題、実施方法、地域での連携体制づくりについて検討を行う。 コロナの感染状況をみて、可能であればイギリスでの現地調査を実施し、イギリスにおけるヤングケアラー支援や多職種連携の方法を整理し、意義と課題について検討する。
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