2021 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of changing in bolus properties during mastication of starchy foods on the kuchidoke sensory characteristics
Project/Area Number |
20H01613
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
西津 貴久 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (40228193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝野 那嘉子 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20743892)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 食塊形成過程 / 口どけ感 / 咀嚼シミュレーター / 米菓 / 澱粉 |
Outline of Annual Research Achievements |
米菓を試料とし,食塊物性三要素のうち粒度分布に特に注目して,咀嚼シミュレーターを試作し,操作条件の探索を行った. 1) せん断機構を組み込んだ咀嚼シミュレーターの試作 圧縮力とせん断力を負荷して試料を破断するとともに,その破断片と定量ポンプで添加した人工唾液をよく混和するために,複数の直方体状または楔形の突起がついた棒状治具を一定速度で回転しながら試料を圧縮破壊する機構で咀嚼を模擬することとした.この機構に治具の移動速度と位置,人工唾液(微生物由来のα-アミラーゼを含む)の流量を制御できる分注システムを接続することとした.治具と口腔部は3Dプリンターを用いて製作した.既報のヒト食塊や振とう式破砕装置をベースとした咀嚼シミュレーターで得た人工食塊の粒度分布の経時変化とおおよそ一致する食塊が製作可能な治具と口腔部のデザインを試行錯誤的に決定した. 3) 試作した咀嚼シミュレーターの操作条件の探索 ヒト食塊の平均粒度の経時変化と咀嚼シミュレーターで作成した人工食塊の平均粒度の時間変化が一致する操作条件を決定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度の実施計画の3つの項目のうち,「咀嚼シミュレーターの試作」については,3Dプリンターによって作製した棒状治具,それを駆動する装置,および人工唾液を送液するシステムを結合することにより,人工的に食塊を作製することができるシステムを完成させることができ,主たる目標を達成した.「新方式シミュレーターの食塊の三要素の定量的測定と操作5条件の決定」については,ヒト食塊の平均粒度の経時変化と咀嚼シミュレーターで作成した人工食塊の平均粒度の時間変化が一致する操作条件を決定することができ,主たる目標を達成した.「咀嚼シミュレーターによる食塊物性測定と官能評価」については,研究代表者と研究分担者のグループが実施してきた官能評価結果がある4種類の米菓試料を用いて咀嚼シミュレーターによる食塊の平均粒度測定を実施し,官能評価スコアと平均粒度の変化速度との関係について検討を行う計画であったが,4種類すべての測定を実施することはできなかった.残りは令和4年度に継続して測定する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
口どけ感の異なる種々の米菓を試料とし,前年度に試作・改良した咀嚼シミュレーターによる食塊物性の経時変化と時系列官能評価法による経時的な官能評価パラメーターとの比較検討を行う.その結果から,食塊物性と官能評価の関係に関する統計的解釈に際して,食塊物性の経時変化を考慮することの有用性について考察を行う.詳細は次の通り. 1)研究協力者の助言により選定した口どけ感が異なる米菓を試料として用いることとする.粒度分布については,時間のかかる篩い分析法に替えて,X線μCT法(CT法)と画像処理を組み合わせる方法に変更する.まずは粒間と粒体のコントラストを上げる工夫を行い,篩い分析法の結果と同等の結果がCT法でも得られるような条件を決定する.その後,すべての種類の米菓試料について,粒度分布,粒子球形度の経時変化と変動速度を決定する.また食塊粒子への唾液の浸透深さの分布についても,CT法により測定し,浸透量と浸透深さの経時変化と変動速度を決定する. 2) オリゴ糖分析や澱粉側鎖の鎖長分析には,微量測定可能なHPAEC-PAD法を用いて,鎖長比率,糖量等の経時変化と変動速度を決定する. 3) すべての種類の米菓試料について,定量的記述分析法による官能評価(QDA法)と,時系列官能評価(TI法,TDS法)を実施し,官能評価結果と上記2種類の食塊物性の関係について統計的分析を行う.以上の結果から,口どけ感と咀嚼中の食塊物性変化の関係について検討する. 4) 3箇年度にわたる研究から得られた結果を総合的に検討し,本研究の総括を行う.
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Research Products
(3 results)