2020 Fiscal Year Annual Research Report
"Telling Fukushima" : ICT teaching resource development and evaluation
Project/Area Number |
20H01625
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
土井 妙子 金沢大学, 学校教育系, 教授 (50447661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 真奈 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 准教授 (50333274)
濱岡 豊 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (60286622)
明日香 壽川 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (90291955)
藤岡 達也 滋賀大学, 教職大学院, 教授 (10311466)
西崎 伸子 福島大学, 行政政策学類, 教授 (40431647)
牧野 淳一郎 神戸大学, 理学研究科, 教授 (50229340)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 福島第一原発事故 / 環境教育論 / 教材作成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、福島第一原発事故による未曾有の環境汚染問題に対し、環境学各分野の一線の共同研究者たちの協力を得て国内初の「福島を伝える」学際的コンテンツをもつICT教材開発を行う。代表者は福島事故後、2011年8月より合計65回にわたって現地に通い、教育と社会への影響調査を行い、成果発表をしてきた。事故の影響は、自然と社会の多岐にわたるが、マスコミの報道量も減り、全体像がつかみにくい。このため現地の様子がわからないという学生のみではなく、教師や国民多数の声に、広く成果を公開することで応えたい。さらに、開発した教材は各大学の授業で使用し、評価を行うという大学間ネットワークのPDSサイクルによる挑戦的なFDを実施する。 本研究は以上の3年間の計画をもっており、1年目の2020年度は教材作成の基盤をつくることを主な計画としていたが、研究開始当初より国内ではコロナ禍に見舞われ、1年間を通して現地調査が実施しにくく、また、対面式の研究会も開催できなかった。普段のインタビュー調査ではご高齢の方も多くおられ、コロナ禍ではご依頼も難しく困難な状況となった。しかし、文献調査などの地元で可能な研究を充実させることにし、また、これまで経験のなかったオンラインでの研究会開催も3回実施し、分担者や研究協力者たちと研究交流に努めた。オンラインでの研究会は移動の時間をとられずに参加しやすいというメリットがあり、対面式の研究会よりも多数の研究者と研究交流ができたことは、コロナ禍での副産物として想定以上の成果である。研究会では、各分野の専門家たちに福島事故は何故起こったのか、現在、事故炉や事故による影響はどうなっているのか、自大学でどのように教えているのかといった報告をしていただき、複数の高等教育機関の研究者たちが福島事故を総合的に理解するためのFDの機会が充実できたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度からは、教材作成の準備をする予定であったが、研究開始当初よりコロナ禍によって現地調査や対面式での研究会がしにくく、困難な状況に陥った。最新の現地の動向が研究に反映しにくくなったものの、文献調査を充実させたり、オンラインでの研究会を充実させるなどして対応してきた。 オンライン研究会は、当初想定したより多くの大学から参加者があり、参加者たちは自身の福島事故に関する講義内容に関して報告したり意見交換ができたりした。多数の高等教育機関の研究者たちによるFDとしては滅多にない貴重な機会となった。パンデミックのなかではあったが、分担者たちは精力的に地元での文献調査をもとに教材作成の基盤となる研究成果も出している。以上のコロナ禍でのプラス面、マイナス面を両方鑑み、「やや遅れている」と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究開始当初よりコロナ禍に見舞われ、他県への訪問自体が難しくなり、現地調査やインタビュー調査などが実施できなくなり、ICT教材作成のための基本的作業が困難な状況となった。このため、文献調査にしっかりと取り組みながら、これまでほとんど経験のなかったオンラインでの研究会開催を工夫するなどして対応した。コロナ禍は続いているが、今後は感染状況をみて現地調査を再開させ、最新の現地の動向を検討したいと考える。来年度からはICT教材による教育実践を充実させたり評価研究の検討をする予定である。 なお、オンラインでの研究会は移動の時間が必要ないため多数の参加者があり、当初の目的であった複数の高等教育機関の研究者によるFDが充実できた。福島第一原発事故による影響は多岐にわたり、それぞれの専門分野のみではなく、各領域の知見を総合的に理解する必要がある。共同研究の基礎的力量を集団的に充実させる面で研究会を重ねる効果は高く、来年度も内容を工夫しながら定期的に開催したいと考える。
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Research Products
(9 results)