2021 Fiscal Year Annual Research Report
〈多元的生成モデル〉にもとづく教育政策の再構築に関する総合的研究
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20H01637
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
菊地 栄治 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (10211872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 賢市 中央大学, 文学部, 教授 (40222880)
木村 優 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 教授 (40589313)
紅林 伸幸 常葉大学, 教育学部, 教授 (40262068)
小国 喜弘 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (60317617)
白川 優治 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 准教授 (50434254)
末冨 芳 日本大学, 文理学部, 教授 (40363296)
高橋 亜希子 南山大学, 人文学部, 教授 (90431387)
永田 佳之 聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (20280513)
仁平 典宏 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (40422357)
根津 朋実 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50344958)
丸山 英樹 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (10353377)
宮古 紀宏 国立教育政策研究所, 生徒指導・進路指導研究センター, 総括研究官 (60549129)
油布 佐和子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (80183987)
吉田 敦彦 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (20210677)
和井田 清司 武蔵大学, 人文学部, 教授 (50345542)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多元的生成モデル / 一元的操作モデル / 相互的主体変容 / 教育改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.教育政策のあり方に関する理論的・歴史的検討:「縮小期」以降の中央教育審議会の議論を領域ごとに分類整理する作業を行い、〈一元的操作モデル〉の視点から各領域に共通する根本的限界を同定するというタスクに取り掛かった。たとえば、「インクルーシブ教育」に関して言えば、構造的変化の中で現象化した「学級崩壊」を「特別支援教育」言説(医療化モデル)で読み解く政策変更が惹起され、日本的な「インクルーシブ教育システム」へと矮小化されていった。 2.〈多元的生成モデル〉の理論的・概念的精緻化の試み:国民国家/資本主義/近代の三位一体が支える教育政策を相対化する作業は、研究者自身もこれを身体ごと馴化されていることから困難をきわめる。この限界を抜け出るために、人類学や経済学あるいは権力論について研究領域のボーダーを超えてレビューを行った。とりわけ、これらを貫くアナキズムの思想と現象学的方法は、〈多元的生成モデル〉を鍛える重要な意義を持つことが示唆された。 3.全国公立小学校校長・教員調査の実施:新型コロナ対応で苦労されている教育現場の状況を踏まえ実施を一年遅らせたが、全国の5%の抽出確率で無作為系統抽出した945校に対して、比較的負担の少ないWeb調査の方法で公立小学校校長・教員調査を実施した(2022年3月)。〆切の4月末日まで二度にわたってリマインドすることで少しでも多くの関係者の声に耳を傾けられるように努めた。 4.〈多元的生成モデル〉にもとづく教育実践の事例研究:国内の各校種の実践について、関係者とのつながりを大切にしながらフィールドワークを試みた。たとえば、地域との関係性が薄くなりがちな高校という校種においても、「人間と社会の限界性」を基点に据えた〈多元的生成モデル〉にもとづく具体的な取り組みが展開されてきた。最終年度には、これらの試みをどのように支えられるかを軸に理論的に深化させたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の状況を踏まえ、全国小学校校長・教員調査の実施を1年遅らせるという判断をしたが、Web調査に切り替えることでなんとか実施することができた。このため、前年度よりも良好な進捗状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
中央教育審議会資料および全国小学校校長・教員調査データの収集はともに予定通りの実施にまでこぎつけた。1年度遅れになった学会発表もテーマごとに複数の研究分担者によって実施できるように準備を進めるとともに、具体的な実践についての事例分析も展開していくことで内容の充実を図っていきたい。
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