2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of AI teaching materials for numerical experiments on meteorological phenomena in science at junior high schools using the JMA forecast model for disaster prevention education
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20H01666
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
名越 利幸 岩手大学, 教育学部, 教授 (10527138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 純至 東北大学, 理学研究科, 准教授 (00726193)
久坂 哲也 岩手大学, 教育学部, 准教授 (00779944)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 数値実験 / 防災教育 / 環境教育 / 情報教育 / 気象シミュレーター / AI気象災害検出 / 理科教育 / 気象教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
学校PCで利用可能な「教育用AI入力インターフェース」の試作品開発が,外注していた中電CTIから昨年度末納品された.現在,その使用方法に関して,教育現場での実践を踏まえ検討している.このプログラムソフトの名称を,その基本気象プログラムの名称(名古屋大学宇宙地球環境研究所坪木研究室のCReSSクレス)から,科学教育用気象シミュレーター「AIクレス」と命名した.「AIクレス」の特徴は,気象庁ビックデータの過去のアメダスデータを利用し,生徒が気象要素の内2つを選択することで,そのアメダス観測地点の過去の気象災害を自動で検出,表示する.さらに,複数表示された気象災害の中で,ひとつを選択すると,気象庁のデータからインターネットを介して,その災害が発生した日時の大気環境場の初期条件・境界条件を取り込み,その現象を再現することができる.その再現された気象現象から,その地域の気象災害の特徴を調査し,防災の学びを得て減災に繋げようとする教育実践を考えている. 一方,この科学教育用気象シミュレーター「AIクレス」の中身の内,連立偏微分方程式である.これを,ニュートン法などで数値的に解を求める.その解を可視画像などにして気象要素のグラフ化をしている.その数値解の方法を,中学生向けに,移流の方程式を数値的に解く理科教育教材を作成し,四則演算に帰着して,中学生に解かせた.その結果,スパコンは1番じゃなければだめだとか,気象庁の存在意義がわかったなどの回答を得た. 今後,教育実践を実施し,その評価からインターフェースを改良するなど,より中学生向けのプログラムへと改良・改善したい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
〇学校PCで利用可能な「教育用AI入力インターフェース」の試作品開発 気象数値モデルは,FORTRANという数値計算言語でプログラムが書かれており,UNIXというOS上で動作するため,中学生の使用は困難と考えられてきた.そこで,大気の運動を支配している連立偏微分方程式を解くための初期・境界条件を中学生でも設定が容易に行えるようなインターフェース(プログラム開発)を作ることで,直感的な条件設定で動作するように工夫した. 本研究では,生徒が指定した地図上の領域(居住地域)で,過去に発生した気象災害を,AIが「気象ビックデータ」から検索され(クラスター分析法),気象現象の種類(台風,停滞前線など),発生日時などが表示される「教育用AI入力インターフェース」の試作品が完成した. ここで言う直感的とは,日本地図上から領域を指定し,時間ステップや3次元格子点間隔などを,ウインドウズのプルダウンメニューなどで,ワンクリックで指定しようとするものである.AIでは、気象庁のビックデータから,過去の生徒が住んでいる地域の気象災害の発生した日時を複数検出するものである。インターフェースの操作性,視覚化など,あくまでも中学生の教育利用を常に意識して開発を試みた.
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Strategy for Future Research Activity |
①:高速CPU性能を持つパソコンやスーパーコンピュータを用い,SDメモリー版プログラムソースによる学校PCで利用可能な数値実験手法の修正を行い,「科学教育用入力インターフェース」の改良・完成を目指す. ②:初期の気象数値予報実験の歴史「リチャードソンの夢」に立ち返り,偏微分方程式の解を求めるために,ニュートン法により四則演算に帰着する手法を開発・改良,生徒が手計算(電卓使用)で解を求めグラフ化する教材を開発する.自然現象の「シミュレーション教材」の意義をより明確にし,ブラックボックス化から脱却する理科教材システムを考案する.課題①と並行して取り組む. ①②で開発した「数値実験教材システム」を,本学教育学部附属中学校などにおいて授業実践を行い改良・進化させ,その教育的意義を検討する.さらに,その結果を受け改修し,教材パッケージの普及へのさらなる改良を目指す. ③:完成版実験教材システム―科学教育用気象シミュレーター「クレス」―のパッケージ化(印刷・梱包)を実施する.添付資料参照.さらに,その希望者への配布を図り普及を目指す.
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