2020 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of exercise program relation to horse-back riding therapy for physically handicapped person
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20H01709
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Research Institution | Fuji University |
Principal Investigator |
金子 賢一 富士大学, 経済・経営システム研究科, 教授 (50337177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川乗 賀也 岩手県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (20725113)
真壁 寿 順天堂大学, 保健医療学部, 教授 (60363743)
米本 清 岩手県立大学, 公私立大学の部局等, 名誉教授 (90305277)
水戸 和幸 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (90353325)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肢体不自由 / 光トポグラフィー / EMG / 乗馬セラピー / 脳性麻痺児 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は重度の肢体不自由のある児童に対して行う運動教育プログラムの開発を最終的なゴールに設定し,まず,乗馬運動が脳・神経-筋メカニズムに与える効果を解明する.その後,どの程度の負荷を伴った乗馬運動を行えば,どの程度の日常生活動作(ADL)が改善されるのか予測可能な乗馬運動効果予測モデルを構築し,得られた知見をロボット乗馬環境の開発に応用することを4年間の研究目的と定めている.本年度は全体の研究の初年度に相当するため,重度の肢体不自由のある脳性麻痺児の乗馬運動(乗馬セラピー)が脳・神経-筋系にどのような影響を与えるのかというメカニズムの解明を行うための基礎的実験を中心に研究を行った.本年度の具体的な研究実績は以下のとおりである. 超低体重出生児(ELBWI)で肢体不自由のある児童3名と健常な児童2名の乗馬セラピー前・中・後における大脳前頭葉部位の酸化ヘモグロビン(O2Hb),上肢および下肢の8ch筋電図(EMG)を計測し,被験者グループごとに比較を行った.その結果,(1)たとえ,ELBWIの児童であっても,乗馬セラピー中には前頭葉部位でのO2Hb濃度が上昇することが判明した.健常な児童の乗馬セラピーによって生じるO2Hb濃度上昇率と比較しても,統計的有意差は認められなかった.(2)乗馬運動に伴って発揮される上肢と下肢の筋活動の協関関係をEMGのRMS値の割合から比較した.ELBWIでは下肢よりも上肢,特に頸部の筋活動が顕著であった.一方,健常な児童においては腰部および下肢の筋活動が顕著であり,統計的にも両被験者グループ間で筋活動の様態は異なることが判明した. 一般的にELBWIで重度の肢体不自由がある児童では体幹の発達不良が指摘され,立位や歩行が困難な場合が多い.乗馬セラピーが体幹の筋活動を誘発し,大脳前頭葉部位の賦活に一定の役割を果たしていることが本研究から示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染防止措置から,なかなか実験を実施することができなかった.しかし,フィールド実験を担う岩手県に在住の研究者が中心となり,オンラインミーティングを重ねる中,学部生と院生を動員しながら急ピッチで実験方法を確立し,晩秋には本実験を実施するに至った.脳性麻痺のある被験者およびそのご両親は本研究に対して非常に協力的であり,超低体重出生時の実際の乗馬中の前頭部位のO2Hbと上肢・下肢の筋電図という大変貴重なデータを記録することができた.スムーズに実験が出来なかった年度の前半部分はこれまで予備実験として行ってきた実験結果をまとめる形で6月に行われた国際会議(International Society of Electrophysiology and Kinesiology XXIII,covid-19のためヴァーチャル開催)で研究発表を行うことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り,継続的にフィールド実験により大脳の賦活度と体幹・下肢の安定性との協関メカニズムを明らかにする.平行して,ラボ実験により乗馬運動に伴うADL改善効果を追跡する.得られた知見を用い乗馬運動効果予測モデルを構築する.障害の程度に応じた乗馬運動の負荷量を標準化し,応用研究として,ロボット乗馬環境を開発する.
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Research Products
(4 results)